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彷徨する自由帖

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近代遺産

主に明治・大正・昭和初期ごろの遺産や文化。まれに幕末以前や戦後も。

小金井公園内にある博物館「江戸東京たてもの園」は近代文化遺産の宝庫|東京都

約7ヘクタールの敷地を3つのエリアに分け、江戸時代から昭和中期までのさまざまな復元建造物を野外に展示している博物館、江戸東京たてもの園。墨田区の方にある江戸東京博物館の分館である。入場口とビジターセンターを兼ねた旧光華殿を抜けて東へ向かうと…

横浜開港資料館へ|近代化産業遺産の旧館およびペリー来航以前から命を繋ぐ中庭の玉楠

県立歴史博物館、郵船歴史博物館、それから横浜三塔など……横浜市中区は規模が大きくてかっちりとした近代建築の宝庫だ。特に地下鉄・みなとみらい線の馬車道駅から日本大通り駅に至るまでの短い距離に、珠玉のファサードがずらりと並んでいる。雰囲気もそれ…

旧浦上天主堂(現カトリック浦上教会)の鐘楼~大正時代に完成、昭和20年に倒壊した近代建築の遺構|長崎市旅行(6)

長崎電気軌道。そのうちいくつかの路線は浦上川に沿い、地図を眺めてみると、まるで南の港から北の水源地を結ぶようにして伸びているのがわかる。無数の橋が渡された川は、それ自体が線路の記号にもそっくりだった。私は平和公園停留場で車両から降りて北東…

横須賀駅の周辺で見られる近代遺産や関連する記念館など

JR横須賀駅の改札を出て徒歩1分ほど。当初は臨海公園と呼ばれていたが、平成13年に新しく庭園を整備し、ヴェルニー公園と名称を改めた海沿いのエリアがある。幕府からの依頼を受けて1865年に来日したフランス人技術者、フランソワ・レオンス・ヴェルニーの名…

鎌倉近代文学館|旧前田侯爵家別邸、上品な蒼い瓦の洋館と薔薇園

鎌倉の長谷にある前田家の別邸は、もとは第15代当主の前田利嗣が土地を購入し建設した、日本家屋だった。しかし、明治43年の頃に残念ながら焼失。その後も洋風建築に姿を変え、大正12年の関東大震災では倒壊するなど受難を経験してきたが、立て直された洋館…

令和3年に閉室した「八王子市郷土資料館」の収蔵品より:53年の歴史を紡いだ展示場(後に桑都日本遺産センター 八王子博物館へ移転)

2019年2月に「八王子のおまじない」という特別展を見に行った郷土資料館。そこがいつのまにか閉室しており、さらには移転して別の施設になるのだとつい先日知って、驚いた。新しい展示場には桑都日本遺産センター(八王子博物館・通称はちはく)の名称が用い…

令和3年1月に閉館し、5月に解体される「原美術館」の往時の姿|昭和初期の近代建築・洋風邸宅

茂る木立の葉に囲まれて、建物の白い壁に落ちた影はほんのりと蒼く、展望台のように屋根から突出している部分を見上げれば奥に空が広がっていた。窓から漏れる明かりが際立つ橙色なのも、計算されてのことだろうか。原美術館は、財団法人アルカンシェール美…

短編《霧笛》を読みながら - 大佛次郎記念館と近代洋館群|横浜山手の丘散歩 Ⅲ

わりとよく足を運ぶ公園の片隅で、また新しい宝物を見つけたような気分になったけれど、すぐそれはあまりに傲慢な意識だと思いなおす。だって、昔から幾度となくこの前を通っていたのにもかかわらず、中を覗いてみようともしなかったのは自分の側なのだから…

旧送水ポンプ所の建築を使った「神奈川県水道記念館」- 近代水道百選にも選ばれた土木遺産・寒川町

神社の正面から境内を出て道を辿り、まっすぐに三の鳥居、二の鳥居と順に出会って、一の鳥居が視界に入る手前で右折をする。交差点に看板があるので分かりやすい。そこからしばらく歩くと、テニスコートとプールの向こうに「それらしい」建物の影が見えてき…

明治に登場した「勧工場(かんこうば)」- 百貨店の前身、文明開化期を象徴する商業施設|横浜市歴史博物館の模型

客の要望に応じて商品を奥から出してくるのではなく、あらかじめ店内に陳列しておく新しい販売の形態。また購入に際して、値段の決定に交渉を必要としない、いわゆる現金掛け値なし。現代においては当然でも、当時は画期的だった営業の仕方の源流は、他なら…

旧新橋ステンション(国鉄汐留駅)跡の再建駅舎と遺構 - 鉄道歴史博物館

著名なところでは、三代目歌川広重や小林清親。そして、他にも同じ明治を生きた多くの浮世絵師たちが残した、旧新橋停車場のようす。新橋停車場は、1914(大正3年)に東京駅が開業した折、汐留駅と改称することになった。その跡地に立てられている駅舎は、紙面…

近代化遺産《記念艦 三笠》- 明治時代にイギリスで造られた戦艦の復元

ある街や都市の内外を行き交う人間の役割を表現するのに、しばしば血液という言葉を使っている。張りめぐらされた道を血管に見立て、時には内臓のような建物に流れ込み、あらゆるものを機能させる彼らの様子をたとえて。そう考えれば、大きな船はそれ自体が…

【アニメ版第1話・第2話】ジョーカー・ゲームの背景に登場する日本の近代建築や文化的要素

柳広司による小説作品「D機関シリーズ」。現在、角川文庫から既刊4巻が刊行されており、2016年4月からはProduction I.Gによって制作されたアニメーション(全12話)も放映されていた。それから今年でちょうど5周年を迎える。私は基本的に原作のファンなのだ…

残存する米海軍EMクラブ(旧海軍下士官兵集会所)のシャンデリア

横須賀市のショッピングモール《コースカ ベイサイド ストアーズ》の一角には、かつての米海軍EMクラブで使用されていた、一台のシャンデリアが今でも使用・展示されている。場所は、汐入桟橋から吾妻島の周囲を廻り、新井掘割水路を通って戻るクルーズ「YOK…

近代の軍事施設、レンガの歴史遺産が残る「猿島」へ - 横須賀市の無人島・国史跡の旧要塞

生まれてこの方、英国に留学していた数年を除いてはずっと住み続けている地元、神奈川県。代表的な横浜をはじめとした地域に、私の大好きな近代遺産が多く集まっている興味深い県なのだが、ではそのすべてに足を運んだことがあるか……と問われれば、答えは否…

旧フランス領事館公邸の遺構を覗く|横浜山手の丘散歩 Ⅱ

港に面した土地には、故あって外国由来の名前を授けられた小路やら、橋やらが本当に多くある。南の長崎はオランダ坂、そして神戸は人名風のハンター坂にトーマス坂など、例を探せば枚挙にいとまはない。横浜・山手の一帯も例に漏れずそのうちの一つだ。なか…

《横浜三塔》などの歴史的建造物から感じる明治・大正期の雰囲気 + 外食記録(横浜駅・新横浜駅)

横浜市中区には、現在《横浜三塔》の愛称で呼ばれている、見どころの多い代表的な歴史的建造物が建っている。神奈川県庁本庁舎、横浜税関本関、そして横浜市開港記念会館がそれにあたり、どうやら昭和初期のころに外国船員がランドマークとして名前を付けた…

東京・下町風俗資料館は不忍池のほとり|明治・大正・昭和の庶民生活が伺える模型の数々

小野不由美の小説《東亰異聞》で「鰯の頭」という言葉を目にしたとき、それが玄関口に飾る魔除けのことだ、とすぐに分かったのは、上野の下町風俗資料館で展示を見ていたお陰だった。私の住んでいる地域にはあまりない風習だったので、それまで存在をほとん…

厚木市古民家 岸邸|美しい色の窓硝子や細部の意匠……明治・大正期の面影を強く残す豪農の家

本厚木駅北口からバスを利用して、約30分。決してアクセスが良いとは言えず、神奈川県内在住でないとなかなか訪れにくい位置にあるが、時間をかけても見に行くに値する近代の邸宅が厚木市にある。建物は古民家岸邸、あるいは旧岸家住宅と呼ばれており、平成1…

熱海随一の和洋館《起雲閣》を訪ねて|大正~昭和初期の富豪の別邸であり、後に文豪も宿泊した旅館

JR熱海駅から徒歩25分程度、ちょうど糸川と初川の間あたりに、広い敷地を持つ立派な元別荘がある。周囲をぐるりと塀に囲まれているため、高台から見下ろすか、実際に中に入ってみないとその容貌は伺えない。現在の名前を「起雲閣」というそうだ。ここは実業…

旧前田侯爵邸|英国の雰囲気を纏う駒場公園の洋館

夏の爽やかな緑を抜けると、忽然と館の入り口が現れる。英国カントリーハウスを彷彿とさせる煉瓦の外観、車寄せ、そして……玄関右に聳え立つ、とんがり屋根。東京都目黒区の一角、格式の高そうな住宅群に囲まれた駒場公園内には、重要文化財に指定された昭和…

旧岩崎邸庭園|代表的な明治時代の洋館と秋の庭

正面玄関上には、天辺に風見鶏をいただく美しい塔屋。近代の洋館と聞いてこの旧岩崎邸の名を挙げない者はまずない。そのくらい広く知られている場所だし、建物自体も素晴らしく、何度でも足を運びたくなるような魅力に満ちている。土日祝日などは混雑のため…

復元された出島の建築物~オランダ・日本間の貿易と鎖国期の面影|長崎市旅行(5)

長崎の出島。そこは200年以上もの長きにわたり機能した、鎖国中の日本において唯一公的な港だった。特にオランダ東インド会社との貿易の重要な拠点として。またその少し前、島原・天草一揆の勃発する直前には、ポルトガル人を収容していたこともある。人や物…

博物館《明治村》で珠玉の近代建築&聖地めぐり。心躍るハイカラなお散歩を - 愛知県犬山市

近代建築を愛する人間として、一度は絶対に訪れておきたかったのが野外博物館・明治村。入鹿池の西側に面し、岐阜との県境にもほど近い愛知県犬山市にある。アニメ《Fate/Zero》や漫画《ゴールデンカムイ》、ゲーム《明治東亰恋伽》、そしてドラマ《坂の上の…

旧横浜ゴム平塚製造所記念館 - 明治期の建築『八幡山の洋館』

横浜港周辺や横須賀、鎌倉、そして箱根に小田原と、神奈川県内には優れた近代建築を拝めるエリアが沢山ある。いち県民としては本当にありがたい……。だが、それらから少し離れた平塚の地にも、魅力的かつ貴重な明治時代の洋館が一件佇んでいることはあまり知…

川原町の情緒ある風景と喫茶店、そして近代の洋風建築を見に|岐阜県南部旅行(1)

日本三大河川の一つに数えられる美しい長良川は、毎年5月から10月頃にかけて、伝統的な鵜飼(うかい)の行事が行われる舞台でもある。その静かな流れと深い青緑色には用が無くても足を止めざるを得ない。豪雨が降れば水位は増し、古来から災害を恐れてきた人…

百 "貨" 繚乱の時代:大正初期の三越本店と日比翁助、英国ロンドンのハロッズ

白亜の城か、大邸宅を思わせる5階建て。地下もある。眼前に現れた荘厳な百貨店の玄関脇には、まるで神社の狛犬のように鎮座する、一対のブロンズ製の獅子がいた。それを横目に建物の内部へ足を踏み入れつつ、一歩先を行く連れに他愛もないことを問いかける。…

日本郵船 氷川丸は今も夢想する乗客を運ぶ|海上の博物館船・近代化産業遺産

横浜港は年間を通して多くの船が発着・寄港する場所だが、その片隅――山下公園の向かいで60年近くも係留し続け、博物館として一般に保存・公開されている貨客船がある。それが《日本郵船氷川丸》だ。昭和初期に竣工した豪華な船は、過ぎし大正時代の面影を色…

稲佐山と坂道と街歩き~レトロな電気軌道に運ばれて|長崎市旅行(4)

長崎を歩き回る際、電気軌道という乗り物にはとてもお世話になった。私はこの呼称が好きだ。単に路面電車やトラム、と表現するよりもずっと。街に張り巡らされた線路を辿る車両、その軌道が100年以上変わらずにあることに、どこまでも深い感慨を抱く。時間を…

旧柳下邸&横浜競馬場跡がふしぎな郷愁を誘う - 根岸にある近代の建物ふたつ

根岸駅から徒歩10分もかからない程度の距離にある、緩やかな丘の上には、細身のさんかく屋根が目立つお屋敷が建っている。頂点にいただくのは銅の棟飾りで、目の前にはシュロのような南国風の木が何本か。写真を撮りながらさらに近付いてみると、その洋館は…