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彷徨する自由帖

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とても端正な近代化産業遺産、桃介橋の尊顔 - 大正時代に竣工した美しい吊橋と木曽川|長野県・木曽郡南木曽町

整っている。あまりにも、顔が良い。これが第一の感想。そもそも南木曽に来た理由の筆頭は、付近にある福沢桃介記念館を訪問することであり、この橋の方はそのおまけくらいに考えていた。ところがどっこい。桃介橋、素晴らしいじゃん。こん……っなに造形が整…

「古書店街の橋姫々×秋葉原和堂 コラボカフェ」で遊んだ記録|漫画喫茶・ネットカフェ

コラボカフェ企画が開始されてから約1週間が経ち、先日、退勤後に秋葉原和堂さんへ足を運んだ際の記録。橋姫をすすめてくれた友達と遊びに行ってみた。最寄りの地下鉄駅、東京メトロ銀座線4番出口の階段から出ると、すぐ店舗に至る看板が見つかる。まずは受…

刻んだ玉ねぎとひき肉を炒め、数種類の豆と一緒にトマトの汁で煮込み、甘辛いスパイスを加えた料理。傍らには必ずうす茶色の食パンがあった。

その源流を辿ればメキシコに至ると推測される、現在はアメリカのテキサス州でよく食されている料理、チリコンカン。主に豆とひき肉とトマトで構成された、夏に食べても冬に食べても箸が……いいや、この場合は「匙」がすすむ、給食で出てくると嬉しい品目だっ…

庭園美術館の建物公開2022《アール・デコの貴重書》展 - 旧朝香宮邸・再訪の記録|東京都目黒区の洋館

目黒にある東京都庭園美術館では、毎年「建物公開展」が開催されている。美術館と名付けられ、通常は展示物を引き立てる空間として機能しているこの旧朝香宮邸の、建築様式や内装といった建物自体に着目するための企画。作品保護のために閉め切られていた窓…

英国が舞台の児童文学《秘密の花園》より - 鍵が扉を開き、孤立していた心は庭園の再生と重なる|F・H・バーネットの小説

そこに入る扉を固く閉ざされ、錠の鍵は地中に埋められ、すっかり誰も立ち入らなくなってしまった庭園がある。周りを囲む垣根の上からは日毎に太陽の光が射し、雨も降り注いではいるのだろうが、閉鎖されているから当然風通しはすこぶる悪い。手入れのされな…

スイートハウスわかば - 中央商店街アーケード内のレトロ喫茶店|静岡県・伊東市

お店の側面、緑のひさしが並んでいるのを見るとまさに若葉の葉を連想させられる。白いタイルの壁から生え、茂った工業的な草。なかなか魅力的だった。公式サイトによれば、創業は昭和23(1948)年とのことで結構な古さだ。アイスキャンディーやアイスまんじゅ…

さながら陸上の船舶、川辺の東海館 - 木造の旧旅館に混交する意匠|静岡県・伊東市

東海館は昭和3(1928)年、稲葉安太郎という人物によって創業された温泉旅館であった。彼は伊東の材木商。それもあってか、館内の各所に使われている木やその加工には確かなこだわりを感じるし、増築時にはわざわざ各階の意匠を評判のよい棟梁へ依頼しているよ…

言葉がヒトを残酷にする

言葉はいつも「本来であれば到底できるはずのないこと」を、いとも簡単に人にさせようとする。そして、結局できてしまう。なぜなら言葉の上でのことだから。残酷な話だ。だから私は毎日のように、言葉さえあれば、と、言葉さえなければ、の狭間でもがきなが…

The PERFUME OIL FACTORY(パフュームオイルファクトリー)の香水《The ORIGINAL 22》と《The PREMIUM 04》の感想

オイル香水専門店・The PERFUME OIL FACTORY(パフュームオイルファクトリー)の商品のうち、オリジナル22番とプレミアム4番ふたつの感想です。参考になるようなら過去の関連記事もぜひ。

屈折しながら上へ伸びる建築器官、昭和の竜宮城、百段階段の7部屋 - ホテル雅叙園東京|目黒区にある都指定有形文化財

目黒駅より徒歩数分。ホテル雅叙園の「百段階段」は昭和10(1935)年に完成した、敷地内に現存する中では最も古い、唯一の木造建築。正式には、ホテルの前身である「目黒雅叙園3号館」のことを指す。料亭の明朗会計を売りにした雅叙園は、細川力蔵とその相棒、…

光で動いてくれる腕時計

個人的に、食事、宿泊、それから航空券や電車の切符などの交通費……つまり性質として体験に直結するものに対しては、買い物という言葉をあまり積極的に使わない。それゆえ人生を通して「一番高い買い物」を思い浮かべるとするなら、文字通りの物品から選ぶこ…

台東区池之端「岩田邸」の洋館特別公開 - 改修工事前の様子と例の透明なドアノブ|大正期の文化住宅・東京都

大正期に建造された洋館付きの日本家屋は、時に文化住宅と呼ばれる。近代の文明開化期において、「文化」という言葉が最新だとか、あるいは先進的だとかいう意味も兼ねて使われていた頃の影響で。東京は台東区上野、池之端の三段坂に面する岩田邸は、和館部…

洋菓子店 えの木てい - 西洋館2階の個室でアフタヌーンティー|横浜・山手の丘

えの木ていは近代の西洋館を利用した洋菓子店で、予約すれば2階の個室を貸し切りにでき、何にも気兼ねすることのない空間でアフタヌーンティーが楽しめる稀有な場所。ふつうに西洋館の一角でティータイムを、というのももちろん良いが、部屋自体を貸し切ると…

愛なんて見たことも聞いたこともない、という顔をしていたい、のだが

人や物、その他を好きになることは、程度はともかくその対象に対して膝を折ること。他の誰かがどこでどう定義していようと、私の世界の内ではそれが敗北であるのだと、はっきり認められている。でも、いとも自然に捧げてしまう。心を砕くなり、燃やすなりし…

お姫様ごっこ

私達はよく「お姫様ごっこ」をしていた。登場人物はお姫様、王子様、城の兵隊(複数人いてよい)、そしておばあさん。それぞれに割り当てられる役はじゃんけんで決められる。だいたい勝った人間から順にお姫様、王子様、兵隊……と決まっていき、最後に残った…

夏目漱石の楽しい邸宅見学《カーライル博物館》|日本の近代文学

夏目漱石が自らの留学体験をもとに著した、ほとんど随筆に近い短編小説。そのうちのひとつに「倫敦塔」があり、それと様々な点で対になるような位置づけの作品が、この「カーライル博物館」だった。わずかなページ数に彼独自の視点と文章表現の良さが凝縮さ…

喫茶まりも - 新丸子駅にあるレトロ喫茶店|神奈川県・川崎市

新丸子駅東口から徒歩1分、友達と雑談するのに利用した喫茶店。建物は大きな窓の外側に鯉の泳ぐ細い池があって、交差点に面した角の部分には煙草販売コーナーもある。少し古い感じの趣がそれらしくて癒し。お約束のようなかわいい食品サンプルの棚の横、扉か…

【宿泊記録】憧憬を抱いて横手館 本館西棟客室「あららぎ」へ - 大正浪漫の趣ある木造旅館|群馬・伊香保温泉

今回は運良く、以前から入ってみたいと渇望していた客室、本館西棟の「あららぎ」に滞在することができた。横手館内でも最も格調高いとされている美しい部屋。値段は他の西棟の客室と特に変わらないため、偶然にも割り当てられたら、建物好きとしては実に嬉…

現実に不思議なことが起こるから(私はロマンティストじゃないよ)

他に陸の影などひとつも見えない沖で、摩訶不思議な島を見た。航海の最中、驚くほど大きな魚に飲み込まれて、けれども帰還できた。日頃から正直にそう語っているのに、誰にも信じてもらえない旅人の気持ちで歩いているような気がする。もちろん信じてくれと…

島薗家住宅 - 瀟洒な千駄木の個人邸|東京都・文京区内の登録有形文化財

宮本百合子、高村光太郎、森鴎外。他にも数々の文化人にゆかりある千駄木の土地には、戦前に建てられ、空襲被害や倒壊を免れて今でも建っている住宅が多くある。そのうち島薗家住宅は昭和7(1932)年に竣工した個人邸であり、先の5月1日はその一部、和館の部分…

当選したはてなブログのステッカー、届きました

週刊はてなブログのキャンペーンで「オリジナルステッカー」のプレゼント抽選があり、なんとなくポチっと応募しましたら当選したとのことで、先日自宅のポストに投函されておりました。ありがとうございます! 具体的な用途と言われても正直思いつくものがな…

パインツリー(PINE TREE) - 熱海銀座の商店街にあるレトロ喫茶店|静岡県・熱海市

純喫茶パインツリーは、JR東海道線の熱海駅を出てからしばらく歩いて、銀座町の商店街に着いたらアーケードの中程に見つけられる。ガラスケースに並んだ魅力的なサンプルと、お店の正面上部にある緑色のリボンが目印。入口左側にはレトロなおもちゃを販売し…

小笠原伯爵邸(旧小笠原邸)「おはなし会」の拝聴と建物見学:約27年の空白期間を経て復元されたスパニッシュ・コロニアル様式の近代建築

黄昏の深く青い空を切り取って、大きな星を埋め込んだみたいな天井。等間隔に椅子が並んだ円形のシガールーム。どこだかもう憶えていない場所で写真を見たときから、ずっとこの部屋に入ってみたかった。先日その夢を叶えられたので嬉しい。4月26日に開催され…

純喫茶マイアミ - 箱根湯本駅にあるレトロ喫茶店|神奈川県・足柄下郡

塔ノ沢で日帰り温泉に浸かった帰り、午後に利用した喫茶店。箱根湯本駅の改札を出てから歩道橋を渡って、階段を下りるとすぐの場所にある。表に出ている看板の上部に大きなコーヒーカップ(MIAMIと書かれている)のレプリカが載っており、中から白い湯気がも…

いくつかの道具に見出せる誠実さ

あなたのために。あなただけのために。そういった言葉がすっかり形骸化して久しい今、お子様ランチというものは本当に素晴らしい存在だな、とさっきから考えていた。子供だけが実際に注文し、子供だけが食べることのできるメニュー。それが体現する料理。ま…

旧公衆衛生院(港区郷土歴史館)- 円形の吹き抜けホールに心も吸い上げられる、昭和初期の「内田ゴシック」建築|ゆかしの杜

何度も訪れている地域だが、私がこの旧公衆衛生院の存在に気が付いたのはつい先日のことであり、こんなところに随分と大きな近代建築があったものだ、と感心して東側から正面入口の方に回った。昭和13年に竣工した鉄筋コンクリート造りの建物。設計は、かつ…

近代建築系のみを記録する用Twitterアカウントを作りました

タイトルの通りです!雑多な記録や言葉による表現など、それらとは分離しておいた方が今まで訪れた近代遺産の見返しが楽だったので、既存アカウントとは別にもうひとつ作りました。建物の名称と建築年代、わかれば設計者、また簡単な特徴を添えて写真を投稿…

大正ミステリーBLG「古書店街の橋姫」感想メモ・聖地関連

ゲーム中に元ネタとして散りばめられている要素を見つけるのとか、今までに訪れた近代遺産が背景スチルのモデルとして登場するのに気が付くのとか、シナリオ以外の部分でもわりと楽しめた。公式サイトの「奥付」ページで読める後日談、実際にはもうほとんど…

穏やかな地獄、イヴ・タンギーの絵画風、石のライオンを添えて|神戸北野異人館街

番人じみた門柱に目を留めたらその奥にいたライオンにたぶらかされて、足がもつれ、はじめは行こうと思っていなかった場所に引っ張り込まれた。坂の中腹にある平坦な煉瓦敷きの道。脇の家は旧フリューガ邸とあるが、石像横にある肝心の玄関は固く閉ざされて…

草原(ある種の傷は癒えるほどかなしくなる)

適切な薄さの白いティーカップを手のひらで撫でまわし、じっと眺めては、陶器に傷などひとつもない方がよいと考える。わずかなひびでも生じてしまったら最後、にわかに存在自体を受け入れがたくなるのが目に見えているし、食器棚にしまっておくだけでなく視…