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彷徨する自由帖

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紅茶はおいしくて楽しい。場面や好みに応じて色々な種類・形式で

はてなブログの今週のお題は「好きなお茶」であるそうなので、以下には家でも手軽にできる自分なりの紅茶の楽しみ方や、他にも外食の際とか、別の場所で出会った紅茶の種類などを書き残してみる。おいしくて楽しい紅茶、私はきっと禁止されないかぎり、高齢…

中島敦の《狐憑》に描かれる詩人(作家)の姿 - 連作短編「古譚」より|日本の近代文学

中島敦の連作「古譚(こたん)」のうちのひとつ、狐憑。かつて中央アジアに国家を形成していた遊牧騎馬民族、スキタイ(スキュティア)人のとある部族に生まれた一人の男と、彼の辿った運命の物語。それが、人間社会のなかに存在する芸術家(作中では「詩人…

美術系の専門コースがある高校に通っていた|カリキュラム・良かったこと・思い出など

ここでは個人的な振り返りも兼ねて、私が通っていた高校の専門コース(美術系)が一体どんなところだったのか、また、どのような部分が良かったのかを紹介してみようと思う。残念ながら、母校に存在していた美術コースは既に募集を停止し廃科となっているた…

夢の日記:レストラン気仙沼

塗装がはげかけてくすんだ青色の看板に「レストラン気仙沼」と白く抜かれた文字がある。か細く寂しい感じのする文字の形、そのすぐ下に小さく、筆記体のアルファベットでRestaurant Kesen’numaとも書かれていた。温泉地の商店街にある喫茶店のような佇まいで…

小金井公園内にある博物館「江戸東京たてもの園」は近代文化遺産の宝庫|東京都

約7ヘクタールの敷地を3つのエリアに分け、江戸時代から昭和中期までのさまざまな復元建造物を野外に展示している博物館、江戸東京たてもの園。墨田区の方にある江戸東京博物館の分館である。入場口とビジターセンターを兼ねた旧光華殿を抜けて東へ向かうと…

「規則的な現象」としてはたらく幽霊の要素:小野不由美《営繕かるかや怪異譚》

私は幼いころから「怖い話寄りの不思議な話」が好きだった。それらの何に惹かれるのか改めて考えてみると、例えば発生する(遭遇する)怪異の怖さ・奇妙さそのものとか、あるいは祟りの発端、根本原因を探る面白さとかが挙げられるけれど、一番はお話に登場…

シャーリイ・ジャクスンの短編《くじ (The Lottery)》を読んで、映画《ミッドサマー》を思い出したこと

わずか数ページに収まる量の文章で、読後に長く残る余韻を読者のなかに残していくのがシャーリイ・ジャクスンの短編小説「くじ」だ。先日、同作者の《We Have Always Lived in the Castle (ずっとお城で暮らしてる)》を手に取り、嗜好に合ったのでこちらも…

渡り鳥みたいに移動する遊園地・ロンドン

数々のお話に出てくるサーカスや芝居小屋は、決まって怪しく魅力的だった。すべての興行が終われば忽然といなくなる。開催期間のあいだだけ、そこにいる。街の片隅に発生した蜃気楼みたいな性質も、そんな一時的かつ限定的な存在のおもしろさを強調している…

もしもずっとお城で暮らせたら:シャーリイ・ジャクスン著《We Have Always Lived in the Castle》より

なにも予定のない休日の朝に起きて、まずやることといえば、玄関の扉がきちんと施錠されているかの確認だろう。もちろん前日の夜、就寝前にしっかり鍵はかけている。それでも念には念を入れて、間違いなく家の安全が保障されているかどうかを確認してようや…

エミリー・ブロンテ《嵐が丘》- この世で魂の半身に出会うことは幸運か? それとも悲運か?|イギリス文学

己の半身。あるいは魂の片割れ、とも呼べる「なにか」。果たしてそんなものが、本当にこの世界に存在するのかどうか、実際に確かめるすべなどない。だからその判断は個々の意識にのみ委ねられている。要するに問題は、当事者であるふたりが周囲の目にどう映…

結局、現実でもインターネットでも疲れる

「個人的な記録の公開」と「人との交流」のふたつを主な目的としてしばらくインターネットを利用してみて、特に後者に関して考える機会が増えた。それで、私は半匿名のまま長く続く人間関係とやり取りには、あまり価値を見出せないのだとなんとなくわかった…

方丈記、夏目漱石、テムズ川:都に暮らす

寝台に横たわったまま耳を澄ました。雨の音も、風の音も聞こえない。それでいて休講日である。首だけを動かしてカーテンのわずかな隙間から外をうかがい、どうやらよく晴れているらしいと天候を把握した瞬間、嬉しさでにわかに働き出した心が身体に外出の支…

瞬間が保存されて永遠になる - 人生最大のトラウマを言語化する試み

「あなたはこの世界に必要な人だと思う」と言われたことがある。次の瞬間、思考も感覚もすべてが真っ白になった。固く握りしめた拳……いや、そんなに生やさしいものじゃない。まるで鉄製のハンマーのようなもので、薄く透明なガラスに覆われた時計の文字盤を…

誰かそこにいますか?

おそらく接触する人間の9割には「こいつが何を言っているのかも、何を言いたいのかもぜんぜん分からない」と思われているだろう。けっしてあからさまではなくても、相手から言外にそう示されればきちんと伝わってくるし、その実感は年齢を重ねるごとにますま…

小説同人誌(A6判・文庫サイズ)制作時のメモ

オリジナルの小説同人誌(フィクション短編集)を作ってみた際の記録です。この時は電子書籍版として別のPDFを作り、それから紙本の入稿用データを改めて用意しました。以下は、今年秋の文学フリマ東京へ出品するための個人的な判断材料に。基本情報・サイズ…

サム・ロイド著《The Rising Tide(満ち潮)》|嵐が訪れて始まる悲劇の連鎖、幸せだった家族に迫る不穏な過去の波

イギリス、サリー州在住の小説家、サム・ロイドの新刊《The Rising Tide》が2021年7月8日に発売された。正式な日本語訳版がまだ出ていないので、ここではタイトルを「満ち潮」と訳することにしてみる。前作《The Memory Wood》に引き続き、今作も物語の開始…

《落下の王国 / The Fall (2006)》- 録画して何度も鑑賞している映画

2020年12月8日に地上波の番組「映画王国」内で放送された、落下の王国(2006)。原題はThe Fallといい、ターセム・シン氏を監督に据えて制作された、インド・イギリス・アメリカの合作映画だ。これを放映時に録画して以来、休みの日になると飽かずに繰り返し…

近代文学を好きになったきっかけ:私と少女Kのこと

日本の近代文学。そこにKという特定のイニシャルを加えれば、脳裏には絞り込まれた無数の作品がぽんぽんと浮かんでくる。タイトルからして明らかな梶井基次郎の「Kの昇天」か、現代文の教科書でおなじみ夏目漱石の「こころ」か、はたまた太宰治の「秋風記…

横浜開港資料館へ|近代化産業遺産の旧館およびペリー来航以前から命を繋ぐ中庭の玉楠

県立歴史博物館、郵船歴史博物館、それから横浜三塔など……横浜市中区は規模が大きくてかっちりとした近代建築の宝庫だ。特に地下鉄・みなとみらい線の馬車道駅から日本大通り駅に至るまでの短い距離に、珠玉のファサードがずらりと並んでいる。雰囲気もそれ…

画面越しに眺めているだけの人を、まるで友達のように感じてしまう心理

いわゆるブログ記事でも、他のウェブ上の呟きでもなんでも構わない。書かれていること自体や、文面から滲み出る発信者の考えに惹かれたり共感したりして、あるいは単純に興味をそそられて、けっして短くはない期間その動向を追っている人というのが幾人もい…

第三十三回文学フリマ東京(2021年11月23日開催)の出店申し込みをしました

// いつも当ブログをご拝読いただき、ありがとうございます。皆様はいかがお過ごしでしょうか。 記事タイトルのとおり、ふと第三十三回文学フリマ東京に出店しようと思い立って、先日に申し込みを完了しました。 イベントは11月23日、火曜日の祝日に開催され…

《木の精のドリアーデ》より -「憧れ」の感情へ注がれる著者の優しいまなざしと近代文明批評|ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話

アンデルセンの紡いだ数々の作品は、いわゆる「昔話」と呼ばれる童話(ここではヨーロッパのものを指している)の形式や特色とはまた違った種類の魅力、すなわち近代の童話としての良さをたくさん持っている。ここで紹介するお話「木の精のドリアーデ」には…

あなた(たち)のいない世界はつまらない

// 尊敬する人とは別の時代に生まれてしまったり、とても大切な人と疎遠になったりしたことのない人間には、絶対に理解できないであろう感覚のこと 読み終わった本を閉じて、表紙の著者名をじっと見る。 さながら漢字の一画一画を、瞳孔から伸ばした細い筆で…

旧浦上天主堂(現カトリック浦上教会)の鐘楼~大正時代に完成、昭和20年に倒壊した近代建築の遺構|長崎市旅行(6)

長崎電気軌道。そのうちいくつかの路線は浦上川に沿い、地図を眺めてみると、まるで南の港から北の水源地を結ぶようにして伸びているのがわかる。無数の橋が渡された川は、それ自体が線路の記号にもそっくりだった。私は平和公園停留場で車両から降りて北東…

喫茶店随想(2) 万全なプリンアラモード

銀色のものと透明なガラスのもの、素材はどちらでも構わないけれど、その形は必ずカヌーを思わせる横長であってほしい。また中央下部から脚が一本伸びて、机の面よりも幾分か高い位置に積載物がくるとなおよい。これでこそ、という感じがする。プリンアラモ…

喫茶店随想(1) ゆで卵の殻をむく

旅行先で、早朝に大きな駅の地下道を歩いていると、まったく異なる二つの時間が同じ空間に流れているようでおもしろい。このときは、友達と名古屋の「メイチカ」にいた。出勤か出張なのかは定かでないが、急ぎ足とは言わないまでも左右交互によどみなく足を…

エンドロールの後に用意されたおまけの映像、さらにその先の先、みたいな日々を過ごす不思議な感覚

このお話はもう完結して、きちんと区切りがついた。だというのに一体いつから、また、どこから新しい流れが始まっていたのかが、全然分からない。そんな感覚をおぼえる時がある。「お話」が指しているものが、他ならぬ己の人生であるのにもかかわらず。いや…

巡礼者の街カンタベリーにある12世紀の宿泊施設 - イーストブリッジ・ホスピタル|英国南東部ケント州

ロンドン中心部から東へ90kmほど進んだ場所、ケント州の北東に位置するカンタベリー。そして噂の大聖堂の入口が以下の写真。通常は参拝者や見学者がここから敷地内に足を踏み入れるのだが、私はそうしなかった。また、ブログ記事のタイトルからも分かるよう…

夜のコーヒーゼリー

// 江崎グリコ株式会社から販売されている、「カフェゼリー」という商品名のコーヒーゼリー。 昭和54(1979)年にはじめて登場し、その後2015年にリニューアルされてからも生産が続いている、40年以上のロングセラーらしい。私は偶然にも冷蔵庫を覗いたらこれ…

鑑賞後感想メモ《劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト (2021)》

※作品の内容や詳細に言及しているネタバレありのメモです。ある日、友人からLINEによる長文のメッセージが送られてきた。内容を要約すれば、アニメ「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」を視聴しなさい、という勧誘に尽きる。私はそれから監督の古川知宏氏を調…