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彷徨する自由帖

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《文字禍》中島敦 - アッシリア|近代日本の小説家による、外国を舞台にした短編のお気に入り(4)

文字の霊などというものが、一体、あるものか、どうか。中島敦の短編《文字禍》はこんな書き出しで始まる。題の字を読むごとく、文字による禍(わざわい)の話だ。舞台は遠い昔の新アッシリア帝国。そこで紀元前7世紀頃に支配者として君臨していたアッシュー…

ウズベキスタン旅行記(5) 首都タシケント:美しい地下鉄駅と黄煉瓦のナヴォイ劇場、残る旧ソ連の空気

サマルカンドとシャフリサーブスを観光した後、タシケント(タシュケントとも。古くはチャーチュ、石国などと呼ばれていた)を訪れた。一番初めに降り立った都市でありながら、実際に色々と見て回ったのは最後。ここはソビエト統治時代から現在に至るまで、…

ふしぎな郷愁を誘う 旧柳下邸&横浜競馬場跡 - 根岸にある近代の建物ふたつ

根岸駅から徒歩10分もかからない程度の距離にある、緩やかな丘の上には、細身のさんかく屋根が目立つお屋敷が建っている。頂点にいただくのは銅の棟飾りで、目の前にはシュロのような南国風の木が何本か。写真を撮りながらさらに近付いてみると、その洋館は…

塔|言葉の残骸

あの塔が完成間近で見捨てられてからというもの、人間の舌にはすっかり強固な呪いがかけられてしまっている。それは世代を超えて繰り返され、より複雑に僕たちの身体に編み込まれ、もう誰も、かつての人々のようには想いを誰かに伝えられない。かつての人々…

目標を追わない。決意をしない。そして、少し駄目になりたい

最近は無気力で色々なことがどうでもいい。可能ならば、気の済むまで延々と眠っていたいとすら思う。……では、本当の本当に何もしたくないのか? と訊かれれば、いや実はそういう訳でもないんだと否定したくなる程度には興味関心が潰えていないから、厄介だ。…

《文明開化と近代日本の跡》めぐり|街と洋館、人々、産業遺産など【国内旅行・お散歩まとめ】

平成から令和へと、年号が変遷した2019年が過ぎ去った。数年前に一人で旅行し始めてから引き続き、今年も決して多くはないけれど、色々な場所を訪れることができた……と思う。特に国内で重点的に巡ったのは明治・大正・昭和初期に建てられた邸宅や史跡。その…

記事を寄稿しました:「会社員なんて絶対できない」思考だった私が、少しだけ自信を持てるようになるまで - WEBメディア〈りっすん〉へ

外部で執筆した記事の紹介です。今回はご縁あって、webメディア〈りっすん - はたらく気分を転換させる深呼吸マガジン〉さんにて、「会社員として働くこと」について書いたものを掲載していただきました。昔の自分からは、とても想像できないような場所で働…

ウズベキスタン旅行記(4) ティムールの故郷シャフリサーブスへ - サマルカンドから山を越えて

サマルカンドから直接シャフリサーブスまで行くには山を超える必要があった。これから対峙するのは、最も高い地点で標高2000メートル近くなる、それなりに険しい道。位置としては、国境を隔てたタジキスタンに大部分が存在している、ザラフシャン山脈の「西…

聖夜譚|お屋敷のクリスマス

体調を崩すと著しく食欲がなくなる。それでも、何かを口に入れないと弱る。ならば逆に、わずかでも飲み食いできるうちはまだ、人はこちら側の世界に根を張っていられるのだ――とも思えた。黄泉や冥界ではなくて、現世の食べ物を喫することができる限りは。今…

『選ばれし者』と『選ばれざる者』の物語が好き

選ばれし者(The Chosen One)という大層な響きの言葉を聞くと、何だか心がムズムズしてくる人……は読者の中にもきっと少なからずいる。それが好意からなのか、はたまた嫌悪からなのかはまだ判断せず、据え置いておこう。ごく個人的な話になるのだが、最近は…

光源としての瓦斯(ガス)と明治~大正時代の日本|GAS MUSEUM がす資料館にて

突然だが、先日アニメ版《鬼滅の刃》を26話まで視聴した。作品の舞台は、大正時代の日本だ。フィクションではあるものの実際に存在する場所が度々描かれており、アニメ第七話で主人公一行が浅草に辿り着いた際は、暗闇に浮かぶ電気館らしき建物や凌雲閣の姿…

ウズベキスタン旅行記(3) 黄昏前のシャーヒ・ズィンダ廟群はとても『天国』に近い場所

ここは、前回の記事で少しだけ言及したアフラシャブの丘だ。今は見渡すかぎり何も残っていないが、昔はサマルカンド(旧名:マラカンダ)の中心地として長く栄えていた、美しい場所だったという。宗教や民族の隔てなく、多くの人々が集まり賑わっていたと伝…

辿ってきた紆余曲折は、自分の強みになり得るだろうか? - 人生を振り返る24歳児

Twitter上で #10年を振り返る タグが流行っていたのが、今から約数か月前のこと。その頃、私は24歳の誕生日を迎えた。とはいえその実感は全く湧かないけれど。世間ではまだ若い、の部類に入るこの年齢を思うと、何かをコツコツ積み重ねるのが苦手な自分が辿…

明治の長崎に住んだ外国人商人たちと居留地の面影~グラバー園の邸宅群|長崎市旅行(3)

港町・長崎は洋館の宝庫だ。訪問時は肌寒い空気を感じつつ街歩きを楽しんだのに加えて、グラバー園で3つの重要文化財指定建造物を中心に、各所から移築された貴重な洋館群を記憶と写真に収めた。なかでも旧グラバー住宅は明治日本の産業革命遺産を構成するう…

ウズベキスタン旅行記(2) 青と緑のレギスタン広場&サマルカンドでの食事

オアシス。砂漠の国で、ザラフシャン川のほとりに築かれた美しいサマルカンドの街は、時にそう呼ばれることがある。グーリ・アミール廟から北東へと進み、大通りを渡った先で目にしたレギスタン広場は、その中で「水辺にないオアシス」と称されても良いので…