JR高知駅に着いて、事前にメモしてあった店名のひとつを目指した。そこまでだいたい徒歩10分程度の距離らしい。
いわゆる純喫茶はこの駅の南側だと、はりまや橋停留所やその東西に多く集まっているようで、あまり足を動かしたくない人の場合はとさでんの路面電車を利用するのが便利なようだった。
私はとりあえず歩いてみる。南東の方に進むと江ノ口川が走り、平成橋を渡り切ったら右手の方角に「アンティック喫茶 ともしび」がある。
大きめの看板がビルの壁面に掲げてあるのでわかりやすい。
ドアを開くとカラカラ高い金属音が鳴る。入口のところから見える以上に店内は広くて、カウンターの他にソファが向かい合う席が複数あり、少し迷っていちばん奥の方に腰掛けた。落ち着くまで気が付かなかったけれど小型テレビの真下であった。とはいえ、それを見る人が他に誰もいないので気にならなくなった。
メニューを眺めていたら、元気で明るい店主ママから「軽めので良ければモーニングあるで」「モーニングいっとく?」と言われてびっくり仰天してしまう。自分の腕時計が狂っていなければ、今は、14時半になるちょっと前であり……もはや、モーニングではなくアフタヌーンの時間帯であるはずで……。
でも本当に良いらしい。
わざわざ「ある」と示唆してくれるくらいなので、もしかしたらカレーとかうどんとか、他の料理を用意するよりもその方が楽なのかもしれない。「モーニングにします……ホットコーヒーで……」と視線をあちこちに彷徨わせながら告げて、カウンターで常連さんが何を話しているのか聞いていた。最近殊に寒いという話がされていた。
高知市での喫茶店利用はここが最初の1件目だったので、私には知る由もなかったことだけれど、実際午後3時くらいまでモーニングサービスを実施している喫茶店は、近隣にわりと沢山あるのだった。
やがて「はい! お姉ちゃんの!」の声とともにテーブルに置いていただいたのがこちら。お姉ちゃんです、こんにちは。
コーヒー、ゆで卵、トースト、サラダ、スープが一緒になって、2024年1月時点で450円の破格値で提供された。本当にいいの? 1000円でお釣りがくるランチに匹敵する内容の充実度だが……。お安いだけではなくてどれもおいしかった。コクのあるバターがたっぷり染みてもヘナっとしない、サクサクのトーストにはやっぱり計りがたい価値がある。
自分じゃなくて誰かが焼いて作ってくれるものだから尚更おいしい。家で、万が一焦げてしまいやしないかと心配になりトースターやオーブンにかじりついて待つのは嫌なのだ。だから外食が好き。
無事にごはんを食べられたので、次はおやつを探しに出掛ける。
噂のはりまや橋に行ってみよう。