chinorandom

彷徨する自由帖

MENU

美術・博物館

鑑賞した作品や訪問の記録

横須賀駅周辺にみられる近代遺産や関連する記念館など

JR横須賀駅の改札を出て徒歩1分ほど。当初は臨海公園と呼ばれていたが、平成13年に新しく庭園を整備し、ヴェルニー公園と名称を改めた海沿いのエリアがある。幕府からの依頼を受けて1865年に来日したフランス人技術者、フランソワ・レオンス・ヴェルニーの名…

鎌倉近代文学館|旧前田侯爵家別邸、上品な蒼い瓦の洋館と薔薇園

鎌倉の長谷にある前田家の別邸は、もとは第15代当主の前田利嗣が土地を購入し建設した、日本家屋だった。しかし、明治43年の頃に残念ながら焼失。その後も洋風建築に姿を変え、大正12年の関東大震災では倒壊するなど受難を経験してきたが、立て直された洋館…

令和3年に閉室した「八王子市郷土資料館」の収蔵品より:53年の歴史を紡いだ展示場(後に桑都日本遺産センター 八王子博物館へ移転)

2019年2月に「八王子のおまじない」という特別展を見に行った郷土資料館。そこがいつのまにか閉室しており、さらには移転して別の施設になるのだとつい先日知って、驚いた。新しい展示場には桑都日本遺産センター(八王子博物館・通称はちはく)の名称が用い…

令和3年1月に閉館し、5月に解体される「原美術館」の往時の姿|昭和初期の近代建築・洋風邸宅

茂る木立の葉に囲まれて、建物の白い壁に落ちた影はほんのりと蒼く、展望台のように屋根から突出している部分を見上げれば奥に空が広がっていた。窓から漏れる明かりが際立つ橙色なのも、計算されてのことだろうか。原美術館は、財団法人アルカンシェール美…

明治に登場した「勧工場(かんこうば)」- 百貨店の前身、文明開化期を象徴する商業施設|横浜市歴史博物館の模型

客の要望に応じて商品を奥から出してくるのではなく、あらかじめ店内に陳列しておく新しい販売の形態。また購入に際して、値段の決定に交渉を必要としない、いわゆる現金掛け値なし。現代においては当然でも、当時は画期的だった営業の仕方の源流は、他なら…

旧新橋ステンション(国鉄汐留駅)跡の再建駅舎と遺構 - 鉄道歴史博物館

著名なところでは、三代目歌川広重や小林清親。そして、他にも同じ明治を生きた多くの浮世絵師たちが残した、旧新橋停車場のようす。新橋停車場は、1914(大正3年)に東京駅が開業した折、汐留駅と改称することになった。その跡地に立てられている駅舎は、紙面…

近代化遺産《記念艦 三笠》- 明治時代にイギリスで造られた戦艦の復元

ある街や都市の内外を行き交う人間の役割を表現するのに、しばしば血液という言葉を使っている。張りめぐらされた道を血管に見立て、時には内臓のような建物に流れ込み、あらゆるものを機能させる彼らの様子をたとえて。そう考えれば、大きな船はそれ自体が…

ポーラ美術館|企画展《Connections―海を越える憧れ、日本とフランスの150年》とレストランのコラボメニュー

ポーラ美術館で2021年4月4日まで開催されていた企画展は、《Connections ―海を越える憧れ、日本とフランスの150年》と題され、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、日本とフランスの二国でどのように文化の交換がなされていたかを美術作品から読み解くものだ…

空を仰いで想うのは:星の王子さまミュージアム・箱根 サン=テグジュペリ

フランスの都市リヨン生まれのアントワーヌ・サン=テグジュペリ(1900~1944)は、優秀な成績を残したパイロットであり、また寡作ながら深く心に刻まれる作品を生み出した作家でもある。代表的な「星の王子さま」は私にとって本当に重要な物語で、今までに何…

東京・下町風俗資料館は不忍池のほとり|明治・大正・昭和の庶民生活が伺える模型の数々

小野不由美の小説《東亰異聞》で「鰯の頭」という言葉を目にしたとき、それが玄関口に飾る魔除けのことだ、とすぐに分かったのは、上野の下町風俗資料館で展示を見ていたお陰だった。私の住んでいる地域にはあまりない風習だったので、それまで存在をほとん…

博物館《明治村》で珠玉の近代建築&聖地めぐり。心躍るハイカラなお散歩を - 愛知県犬山市

近代建築を愛する人間として、一度は絶対に訪れておきたかったのが野外博物館・明治村。入鹿池の西側に面し、岐阜との県境にもほど近い愛知県犬山市にある。アニメ《Fate/Zero》や漫画《ゴールデンカムイ》、ゲーム《明治東亰恋伽》、そしてドラマ《坂の上の…

体感するモダンアート《養老天命反転地》と大正時代の擬洋風駅舎|岐阜県南部旅行(3)

目指すは養老—―鎌倉時代に編纂された古今著聞集内の「養老孝子伝説」で語られ、後に名水百選にも選出された美しい滝と、名産品・瓢箪(ひょうたん)制作の文化が脈々と受け継がれている土地。 実は出発前、そこには不思議な芸術作品があると小耳に挟んでいた…

日本郵船 氷川丸は今も夢想する乗客を運ぶ|海上の博物館船・近代化産業遺産

横浜港は年間を通して多くの船が発着・寄港する場所だが、その片隅――山下公園の向かいで60年近くも係留し続け、博物館として一般に保存・公開されている貨客船がある。それが《日本郵船氷川丸》だ。昭和初期に竣工した豪華な船は、過ぎし大正時代の面影を色…

ロンドンの街で気軽にアート作品に触れよう【訪問したギャラリーまとめ・現代美術が中心】

イギリスの首都・ロンドンには、優れた収蔵品を誇る国立美術館の数々に加えて、無数のアートギャラリーが存在している。特にモダンアートやコンテンポラリーアートに興味があるなら、より訪れたいのは後者だろう。広大な街のどこかで常に何らかの展示が行わ…

光源としての瓦斯(ガス)と明治~大正時代の日本|GAS MUSEUM がす資料館にて

突然だが、先日アニメ版《鬼滅の刃》を26話まで視聴した。作品の舞台は、大正時代の日本だ。フィクションではあるものの実際に存在する場所が度々描かれており、アニメ第七話で主人公一行が浅草に辿り着いた際は、暗闇に浮かぶ電気館らしき建物や凌雲閣の姿…

明治の長崎に住んだ外国人商人たちと居留地の面影~グラバー園の邸宅群|長崎市旅行(3)

港町・長崎は洋館の宝庫だ。訪問時は肌寒い空気を感じつつ街歩きを楽しんだのに加えて、グラバー園で3つの重要文化財指定建造物を中心に、各所から移築された貴重な洋館群を記憶と写真に収めた。なかでも旧グラバー住宅は明治日本の産業革命遺産を構成するう…

東京都庭園美術館《1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと》に見るアール・デコの結晶

白金台(しろかねだい)の西端を占める皇室の土地。そこに建つのが、旧朝香宮邸――現・東京都庭園美術館。昭和初期に日本で完成した数ある洋風の邸宅の中でも、いっとう美しい作品の一つだと私は思っている。クリーム色の外観は装飾の少ないすっきりとした佇…

昭和初期の洋館跡を見つけた茅ヶ崎散歩:高砂緑地と美術館、そして海辺

まだ肌寒かった頃の話だ。森や山が好きなのに、その全く逆の方角へと足を運んだ。私は偶にそういうことをしたくなる。仕事が休みになったので自由な時間が選べたのと、平日で電車もある程度空いているだろうという算段で唐突に予定を組んだような気がするが…

《塩田千春展:魂がふるえる》を鑑賞した記録|六本木・森美術館にて

先日、六本木ヒルズの森美術館で開催されていた《塩田千春展:魂がふるえる》へと足を運んだ。これは氏の初となる大規模な個展らしく、平日にもかかわらず、会場には人が集まり賑わっていた。今回の会期中には並行して、銀座の商業施設 GINZA SIX の吹き抜け…

エジプト・カイロ周辺旅行(2) 広大な考古学博物館を興奮しながら駆け回った記録

私達の心をいつの時代も惹きつけてやまない、古代文明の遺産。エジプト、という言葉の響きから多くの人々が反射的に連想するのは、ピラミッドの丘や王家の谷の葬祭殿、墓荒らしの手を逃れて生き残った副葬品をはじめとする、数多くの史跡・宝物だろう。現地…

公園に出現した《ロンドン・マスタバ》クリスト&ジャンヌ=クロードのアートプロジェクト:街の中の現代美術

2018年の6月中旬から9月末まで、英国・ロンドンの中心部にあるハイド・パーク内では、ある巨大な現代美術作品を見ることができた。プロジェクトのタイトルは《The London Mastaba(ロンドン・マスタバ)》といい、二つの側面が等脚台形になるよう大量のドラ…

レアンドロ・エルリッヒの不思議な《スイミング・プール》を鑑賞する|金沢21世紀美術館

この写真に写っている不思議な《プール》を美術の教科書で見たことがある、という人は決して少なくないと思うのだが、どうだろうか? もしくは金沢の観光情報冊子に取り上げられているのを目の端で捉えて、その存在を知っていたという人もいるかもしれない。…

オックスフォードの街で:数々の博物館や植物園、スロバキア料理を楽しむ

権威ある大学が位置する場所として名高く、"夢見る尖塔の街"という優美な愛称でも呼ばれるオックスフォードの街は、ロンドンからは電車でたった1時間ほどと気軽に散策をしに訪れることができる。ここにはいちど気の向くままに歩き回った時の記録に加えて、そ…

ノルウェー旅行・北欧の街オスロ(1) ムンク美術館やノルウェー民俗博物館、海辺の城塞

昨年の5月、ちょうど今のような季節に、大学での友人と共にノルウェーの首都を訪れた時のことを思い出した。滞在中に足を運ぶことのできたいくつかの文化施設・古城について、思い出せることと写真のうちのいくつか、また改めて調べたことなどを書き残してお…

ウォレス・コレクション(The Wallace Collection):貴族の邸宅で触れる古典絵画の世界|ロンドンの美術館

ウォレス・コレクション(The Wallace Collection)はロンドンにある類似の施設の中でも、ナショナル・ギャラリーやヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)などに比べると大きく取り上げられることの少ない美術館のうちの一つだと思う。その存在に気…