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彷徨する自由帖

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旅行とお散歩

色々な世界の見聞録

スリランカ一人旅(1) 宝石のごとき「紅茶」のきらめきに魅了され - スリランカ航空を利用して光り輝く島へ

何の変哲もない飛行機内の紅茶から、すでに旅への期待が高まっていく。いわゆるコロナ禍の影響をずっと受けていたため、国外へ足を運ぶのすら数年ぶり、という驚きがある。それでもだんだん思い出してきた。こうした旅は、たとえ頻繁でなくても、確かに自分…

明治35年創業「元湯玉川館」の食事と建物 - 七沢温泉は小林多喜二が一時期隠棲した土地|神奈川県・厚木市

今回、食事と入浴を合わせた3時間滞在のプランで利用したのは、明治35(1902)年創業の元湯玉川館。現代ではドラマ『相棒』の撮影で使われたり、過去には漫画『のらくろ』の著者である田河水泡や童謡『夕焼小焼』の作詞を行った中村雨紅が逗留していたりと、時…

平成橋を渡ったら「アンティック喫茶 ともしび」がある|高知県・高知市

// JR高知駅に着いて、事前にメモしてあった店名のひとつを目指した。そこまでだいたい徒歩10分程度の距離らしい。 いわゆる純喫茶はこの駅の南側だと、はりまや橋停留所やその東西に多く集まっているようで、あまり足を動かしたくない人の場合はとさでんの…

何度でもまた、どこかへ

昨年の中盤……特に夏の終わり頃から少しばかり調子を崩していて、生きるのが苦しく、心身の余力を温存するためにできるだけ引きこもり気味に過ごしていた。そうしたら、かなり快適だったはずなのにとても寂しくなってしまった。自分でもびっくりした。何にも…

海をグラスに1杯 - 金沢八景の喫茶店オリビエ|神奈川県・横浜市

でんわ☎でんわ 楕円形の看板を一瞥して中に入る。日曜日の午後1時、店主氏がひとり、カウンターにもお客さんがひとり、とても静かだった。段差を下りるとボックス状の席が点々とある。4つあるうち埋まっているのはこれまたひとつ。窓際に着席して鞄と上着を…

純喫茶 バウハウス - 窓と草木の隙間から零れる明かり|神奈川県・横浜市

扉を開けて外に出た瞬間、よかった、やっぱり来てよかった、といつも思える喫茶店。今年の晩春に訪れていたJR中山駅前の喫茶店、バウハウス。ふたたび足を運んだら、前はあったあれが無いな、と思っていた緑のカーテンが復活していて喜んだ。何とも言えない…

喫茶店「珈琲 琵琶湖」梅の屋敷から広大な湖面を想像する11時|東京都・大田区

滋賀から遠く離れた東京都にも「琵琶湖」があるらしい。それは喫茶店の姿をしていて、建物のように装っていながら、あの静かで広大な湖面に宿る心を内に秘めている。扉を開ければいつでも、あの場所の空気に包まれる……かもしれない。また近江八幡に行きたく…

鎌田共済会 郷土博物館 - 大正時代に建てられた旧図書館|香川県・坂出市の近代建築

電車の窓からこの建物が見え、それで気になったのがきっかけで、わざわざ足を運ぶ人の数も多いのだと職員さんが言っていた。私達も岡山から快速マリンライナーに乗って来た。方角からすると、坂出駅に停車する直前で気が付く機会があったはずで、けれども白…

喫茶店 サザンクロス - 南十字星の山盛りクリームソーダ|香川県・坂出市

この北半球にいて、南十字星(Southern Cross)を拝める場所というのはさほど多くない。首都圏から南西の方角に下った四国も例外ではなく、けれどそこには、実際見えるはずのないサザンクロスが存在して人間を招いているのだった。道路際で、きちんと光を放つ…

四谷シモン人形館 淡翁荘 - 昭和初期の洋館、旧鎌田勝太郎邸が内包する幻想世界|香川県・坂出市の近代建築

現在「四谷シモン人形館」として門戸を開いている建物は、かつて鎌田醤油の4代目、勝太郎が坂出に建設した居宅。彼の号にちなんで「淡翁荘」と呼ばれていた。戦前の昭和11年に竣工した洋館で、現在は広い駐車場となっている横の土地から見ると実に四角く簡素…

ホテルニューグランド「ラ・テラス」の緑色・黄色・酸味が爽やかなサマーアフタヌーンティー|神奈川県・横浜市

8月31日㈭まで。なみに17時以降に予約をすると「スイカのカクテル」が無料で付いてくるため、都合が合うなら断然夕方に行くのがおすすめだった。陽が傾いてからの方が少しだけ涼しいし、それから徐々に薄暗くなっていく中庭を窓から眺めるのもわりと好き。今…

なだらかな眉山の曲線や、旧百十四銀行徳島支店が持つ直線|四国・徳島県ひとり旅(6)

まゆのやま……。その「形状」から眉山と名付けられた山だと聞き、新町橋の側に立って、泰然とした姿を見上げた。手前にあるビルの「探偵社」や「カメラ高価買取」などという文字列につい気を取られてしまうが、違う違うそっちじゃないよと自分に言い聞かせる…

【閉店】構築された目眩く世界、カド - 季節の生ジュースとくるみパンの店|東京都・墨田区

言問団子の店舗から桜橋方面に向かって3分くらい歩くと、交差点に面した位置に、文字通り「カド」という飲食店があった。季節の生ジュースとくるみパンの店。この、盾のような看板には思わず足を止めてしまう。お店の公式Instagramを参照すると制作者の方々…

かなり緑茶がおいしい向島「言問団子」の都鳥 - お皿に可愛い絵柄|東京都・墨田区

向島の和菓子の店「言問団子」は店内に椅子と机が置かれていて、団子か最中(もなか)を注文したら座ってすぐ食べることができる。峠の茶屋みたいな趣、壁の2面が硝子戸で明るく、春先に訪れた際は吹き込む風も心地よかった。でも季節柄なのか相当に強い風で…

月の印(しるし)の喫茶店 - café & antiques, 店内での写真撮影禁止|神奈川県・横須賀市

つめたいカフェ・アマレットは、炎天下の砂浜に3時間もかがみ込んで、無心でガラスの欠片を拾っていた身体によく沁みた。爽やかでほんのりと甘い。表面のクリームを落としてかき混ぜると、よりまろやかになる。その大きなグラスに浮かぶ砕氷が奇しくもシーグ…

【乗車記録】寝台列車〈サンライズ瀬戸〉で瀬戸大橋を渡った夜のこと|半夏生の四国・香川県散策(1)

地上に張りついたレールを基盤として、暁を待つのではなく、そこへ向かってひたむきに走るのが夜行列車だ。そう、真面目かつ「ひたむき」に、自らに与えられた職務に忠実に、両脇から迫る闇を振り切っていく。それは夜に属し揺蕩うものというよりかは、夜を…

【宿泊記録】ビジネスホテルマツカ - JR穴吹駅周辺の宿泊施設、朝食付き|四国・徳島県ひとり旅(5)

脇町の重伝建保存地区を見学するにあたり、宿泊したのはビジネスホテルマツカ。JR穴吹駅から徒歩で約15分、オデオン座までは約20分といった立地で、このあたりは特に路線バスなども通っていないため、散策気分でぶらぶら歩いてみるのが吉。面白いものが沢山…

JR徳島線を利用して城下の脇町「うだつの町並み」を訪う - 阿波藍のふるさと吉野川|四国・徳島県ひとり旅(4)

JR四国のコーポレートカラー(と、言うらしい)は明るい水色で、私はこれがとても好きだった。駅名の看板に使われているロゴや、車体を彩るラインにもしばしば使用されている、爽やかな色。詳細を調べれば「澄んだ空の青」のライトブルー、と出てきて深く納…

昼、ひっそりと開いては閉まるお蕎麦屋さん|神奈川県・横浜市

この店は基本、土日も営業しているが不定休で、昼間の1時間半しか開けていない。営業しているかどうかは、のれんの有無が目印。入店すると「うちは『おまかせ蕎麦3種』のコースひとつしかメニューがございませんがよろしいですか」と聞かれ、はい、と答える…

ローカル鉄道・上信電鉄~上州富岡で降車し製糸場へ|ほぼ500文字の回想

どうやら上信電鉄、かつては実際に下仁田から長野(現在の佐久市あたり)まで延線を行う計画が存在していたようだった。そのため電化へと舵を切った際、明治期には「上野(こうずけ)鉄道」だった社名が、大正10年に「上信電気鉄道」へと変更されている。現…

太宰治《津軽》をきっかけに津軽半島を縦断した秋の記憶、龍飛崎をめざした - 青森県旅行・回想(1)

昨年の秋、ふと太宰治の「津軽」を手に取ってから、実際の津軽地方に足を運んでみたい気持ちが強まった。それで間を置かず(つまり衝動の熱が変質してしまう前)に行ってみた。羽田から青森へ飛ぶとなんと1時間半程度で着いてしまう。青森空港のガラス壁に、…

揚輝荘北園に建つ《伴華楼》の再訪記録 - 設計・鈴木禎次は夏目漱石と相婿の関係にあたる|名古屋の近代建築

// 前に来たときと同じく季節は冬。けれど、当時の名古屋は雨だった。 確か小雨で、歩きながら傘は差していなかったような気がする。そこかしこに小さな屋根はあっても全身が湿るから、広い庭園に長居するのは憚られて、早々に南園の聴松閣内部へ避難してし…

鮨喫茶すすす - 薔薇庭園を通って神奈川近代文学館、喫茶室まで|横浜市・中区山手町

神奈川近代文学館の喫茶室として、2023年4月20日から新しいお店がオープンしたと聞いた。お知らせを読むと店名は「鮨喫茶すすす」というらしい。鮨(すし)喫茶……つまり、文学館内で「おすし」が食べられる、ということ……!? さっそくメニューの紙に視線を…

永世の繭の眠り・シルク博物館・純喫茶「田園」

落ち着いたうす緑色のソファと、深緑色のテーブルが、店名の通り「田園」のある風景と共に桑の葉が茂る様子を思い起こさせた。蚕は桑を食む。七十二候のうち、夏の項目の中にも「蚕起食桑 (かいこおきてくわをはむ)」がある。5月の21日頃から数日間がそう…

【宿泊記録】はやし別館 - 滲み出る古さ・渋さ・緩さの中に「地味な良さ」を感じる老舗旅館|四国・徳島県ひとり旅(3)

とても……良い。照明器具も、ソファの色も布地も。客室に関してはいずれも普通の和室で、ひとり部屋でも8畳程度の面積があって広そう。もとより扉にきちんと鍵がかかりさえすれば(かなり重要、私はどうしても施錠可能な場所以外では眠れない)多少のことは気…

山裾に広がる街で喫茶店を巡ってみる - JR徳島駅から半径1km圏内|四国・徳島県ひとり旅(2)

最近、自分だけでも喫茶店の空間や、そこで過ごす時間を楽しめるようになってきた。とても良いことである。誰のことも気にしない気儘な喫茶店巡りは本当に楽しい。特に長く続いている、それなりに古いお店は。まず場所というものがあって、周辺に人間がいて…

ギャラリー喫茶「グレイス」の出来たてで美味しいピザトースト|徳島県・徳島市

JR徳島駅から徒歩約12分。駅出口から南に進んで新町川を越えた先、「銀座商店街」周辺にあるギャラリーの、2階部分に趣ある喫茶店が存在しているのだった。ちなみに前回紹介した「喫茶びざん」からも近い距離にあり、いずれも両国橋を渡ってすぐの場所。この…

創業昭和63年、JR徳島駅前の森珈琲店 - 2段のクリームソーダとモーニングセット|徳島県・徳島市

駅前に、朝の比較的早い時間(8時台)から営業している喫茶店があるか、ないか。この意外と重要な問いに「ある」と返してくれる徳島駅はとても良いところだ。ただし、今回足を運んだ「森珈琲店」は2023年時点で水曜が定休日となっていたので、もしも該当の曜…

喫茶びざん - 前身は昭和2年創業の西洋料理店、同12年に改称して受け継がれてきた老舗|徳島県・徳島市

両国橋……と聞いて何を脳裏に浮かべるかは、その人が日本のどの地域に住んでいるかによってかなり異なるのではないだろうか? 有名なのは東京都・墨田区で隅田川にかかる、袂の不思議な球体飾りが特徴的な両国橋だが、ここ徳島市にも同じ名前の橋がある。欄干…

創業昭和30年、いかりや珈琲店 - 山盛りアイスクリームのコーヒーゼリー|徳島県・徳島市

落ち着いたテールベルトのタイルが敷かれた床。席の片側、ガラス張りになっている壁の向こうには、謎の中庭みたいな空間がある。平日の午後は空いていた。少し前にお昼を食べたので、うーんどうしよう……と迷い、ホットコーヒー(ブレンド)とコーヒーゼリー…