創業が昭和30(1955)年になる「いかりや珈琲店」。徳島駅から徒歩約7分のところに存在する。
豆などを扱っている老舗コーヒーショップの、商品販売エリアの奥に喫茶室があった。カウンター席がいくつかあるのと、実は外観よりも奥まっていて結構広い店内に、テーブルも複数。ひとりかふたりで行くのが入りやすそうな規模、という印象を受ける。
落ち着いたテールベルトのタイルが敷かれた床。席の片側、ガラス張りになっている壁の向こうには、謎の中庭みたいな空間がある。
平日の午後は空いていた。
少し前にお昼を食べたので、うーんどうしよう……と迷い、ホットコーヒー(ブレンド)とコーヒーゼリーを注文してみることに。温かいものと冷たいもの、特に後者は看板に書かれていた名物らしいので、かなり楽しみにしながら。机を挟んで見える赤い革張りの椅子に視線を向けたり、本を読んだりしながら待っていると、来た。
おっと…………!?
届いた瞬間に「デッッッカ」と口にしてしまいそうだったのを、すんでのところで堪えた。写真では分かりにくいかもしれないのだが、グラスのサイズ、かなり大きめ。それはコーヒーゼリー部分の体積にとどまらず、その上に重ねられた山盛りのアイスクリームの層からも伺えた。どっしりと重みがある。
厚手の白い花びらのような欠片が、一枚一枚丁寧に重ねられて、丸い山を作っていた。
それにしても美味しそう。ひるんでいても仕方がないので、食べ出すことにする。口の中や舌が冷え切ってしまったらコーヒーで温めながら。アイスはバニラというよりも牛乳寄りの風味でほのかに甘く、コーヒーゼリーの方は苦みがまろやかでありつつ、決して甘くはない。そのためにシロップがついてくる。
個人的にシロップはそこまで必要ではないような気がしたが、いよいよグラスの底が見え、ゼリーの終盤に差し掛かる頃には確かに「味変」をしたくなる。なので少しだけ垂らす。メープル風味がわずかに加わって、とても満足した。
「昼食後にデザートを楽しもう♬」
くらいの気分で注文したコーヒーゼリー、結果的にはその「大きさ」と「山盛りアイスクリーム」に圧倒されることになった。でも、美味しかったなあ。確か税抜600円くらいだったと思うけれど、サイズを考えると、とてもお得な存在なのではないか。昼食から夕食のあいだに時間があいている日などはちょうど良さそう。
食べ終わってから店内を見てみると、背後の一角に可愛らしいタイルの一角が。昭和年間に創業しているのでやはりレトロな感じのする部分が今でも残っているようだった。
親子3代にわたって受け継がれてきたお店、また徳島に赴く機会があったら立ち寄ってみたい。
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