駅前に、朝の比較的早い時間(8時台)から営業している喫茶店があるか、ないか。
この意外と重要な問いに「ある」と返してくれる徳島駅はとても良いところだ。ただし、今回足を運んだ「森珈琲店」は2023年時点で水曜が定休日となっていたので、もしも該当の曜日にあたってしまった場合は他を探すか、チェーン店のお世話になろう。
バスロータリーの西側。JR徳島駅前ターミナルビルの1階。少し奥まった位置にある入口の扉を開けて入店すると、細長い店内が視界に飛び込んでくる。机が並び、座席が一直線になっていて、椅子の反対側は隙間なく横並びになったソファなのが面白く興味を惹かれた。まるで、路面電車の座席みたいだ。このままどこへ運ばれていくのか。
ひとりでソファ側に腰掛けると目に入る、椅子のシックな、灰色に近い緑の背もたれ。木の壁と机から受ける印象は暖かい。
メニューの表側には「モーニングセット:全ての飲み物+200円」とあった。
この全ての飲み物というのにクリームソーダ(つまりはフロート系)が含まれているかどうかをおずおずと訪ねてみると、なんたる幸運、含まれているということで、嬉々としてモーニングを注文した。しばらくするとお望みの品がやって来る。
良い意味で驚かされたのは、メニューに載っていたクリームソーダのイラストと、実際に現れたものとの大きな違い。イラストの感じはごく一般的なクリームソーダであったのにもかかわらず、届いたものに目を向けると、優美な細身のグラスに「2色」の液体が注がれているではないか……!
透明な胴体を透かして、水晶のような氷が見える。
その下側を緑のシロップが、そして、上側を無色のソーダ水が占めていた。
配膳の際に「よくかき混ぜてくださいね」と言われる。とてもにこやかで親切なお店の方、過去のウェブ記事などを読むに、多分この方が森さんなのだろうか。
もう飲む前からクリームソーダの良さが分かってしまう。早い段階でふたつの層をなくし、均一に広がったシロップの甘さを楽しむも良し、あるいは頂上に乗せられているアイスクリームを溶かしながらプレーンなソーダの味から楽しむも良し。決まりはない。赤いさくらんぼが、まるで何かのサインのようにきらめいている。
炭酸の泡はわりと細かく、強さも標準的な感じだった。
朝の一発目、炭酸を飲んでキメるぜと意気込んだなら、絶対にこれのモーニングセットを選ぶことを個人的におすすめしておく。わくわくするようなクリームソーダで大喜びしているところ、今度はさらにまた食べられるものが来るのだ。
3種ほどあったセットの中から「ホットサンド(ハム)」を選択した。
ハムと野菜と、あとはチーズ的なものが挟まり、しっかりと熱で綴じられたホットサンドにジューシーなオレンジの欠片。重たすぎない朝食として適した優秀な存在たち。これに小さなサラダまでついてきたのだから、私は終始内心で微笑みながら黙々とすべてを平らげたのだった。
駅前にこのような喫茶店があるのは素敵なこと。
お会計をしようと思って伝票に意識を向けると、裏面に「毎度ありがとうございます」と書いてあった。印刷ではない、手書きのひとことが。
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