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彷徨する自由帖

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【閉店】構築された目眩く世界、カド - 季節の生ジュースとくるみパンの店|東京都・墨田区

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墨田区を散歩するようになったきっかけ:

 

 言問団子の店舗から桜橋方面に向かって3分くらい歩くと、交差点に面した位置に、文字通り「カド」という飲食店があった。

 季節の生ジュースとくるみパンの店。この、盾のような看板には思わず足を止めてしまう。お店の公式Instagramを参照すると制作者の方々について詳しく書かれている。木枠の意匠を考案したのが志賀直三さん(小説家・志賀直哉の異母弟)で、実際に形作ったのが彫刻家の小畠廣志さんとのこと。

 店主氏の先代(お父様)が創業してから2023年で65年目、当時から外壁を飾る看板は生物ではないけれど時代の証人のようで、口が利けるものならその声に耳を傾けてみたいと思わされた。

 

 

 ここは老朽化した建物の外壁が崩落し、今年7月30日に閉店を余儀なくされてから、今度は茨城県の久慈浜に移転して新しいお店を始めることになったと聞く。

 調理も接客も店主のおじさまがひとりで行っていて、一見の客でも常連でもまったく関係なく、手が空いていれば四方山話を聞かせてくれる。無論忙しそうな時は対応できないので、その場合はあまり話しかけず、内心で応援しながら温かく見守るのが吉。

 着られている服が手作りであったり、天井や机の「薔薇」はご自身でひとつひとつ描かれていたりと、こだわりの数々が伺える絢爛な空間は本当に貴重で面白かった。

 

 

 おそらく生ジュースのうち最も代表的なのは、うす緑をした「活性生ジュース」というもの。

 セロリやらアロエやら、とにかく色々なものが入っていて爽やかで、私はかなり好きだった。毎日飲みたい味がする。季節によって旬や仕入れの状況が変わり、その配合が変化する関係で味もまた移り変わるようで……移転先の店舗でも提供されるのであればぜひとも確かめたい。

 そして、生ジュースはトマトクリームチーズサンドと共に。

 焼かれたパンのパリパリした食感に、くるみの歯ごたえと風味の奥深さが加わる。結構硬めなのがおいしさのポイントかもしれない。まあまあ量があるかと思いきやあっという間に食べられて、しかもふたつ目にも手が伸びてしまいそうになる、魔性のサンドイッチ。