chinorandom

彷徨する自由帖

MENU

かなり緑茶がおいしい向島「言問団子」の都鳥 - お皿に可愛い絵柄|東京都・墨田区

※当ブログに投稿された一部の記事には、Amazonアソシエイトのリンクやアフィリエイト広告などのプロモーションが含まれています。

 

 

 

 

墨田区を散歩するようになったきっかけ:

 

 向島の和菓子の店「言問団子」は店内に椅子と机が置かれていて、団子か最中(もなか)を注文したら座ってすぐ食べることができる。

 峠の茶屋みたいな趣、壁の2面が硝子戸で明るく、春先に訪れた際は吹き込む風も心地よかった。でも季節柄なのか相当に強い風で、うっかり伝票が飛んで行ってしまわないようにしっかり皿で押さえておかなければならなかったけれど。

 席に座るとすぐ「お団子?」と聞かれるので、それでよければそのまま。あるいは最中の方が欲しければ、最中、と言えば持ってきてもらえるはず。次に行ったら食べてみましょう。

 

 この団子は串に刺していないのが特徴らしい。

 味は白餡と、小豆餡と、味噌餡。団子がそれらの餡で包まれている。甘く、弾力があり、見た目よりもぎゅっと詰まった感じがしてお腹が膨れた。よく噛む。味噌餡は唯一わずかに塩気があるのがポイントか。長旅で疲労困憊しているときなど、行李の奥から出てきたら嬉しくなること請け合いだと想像する。

 在原業平「伊勢物語」、その『東下り』の箇所に組み込まれている和歌で言及された、都鳥(みやこどり)モチーフの鳥が描かれた小皿に、身を寄せ合うお団子が3つ。

 3つとも目を凝らすと小刻みに震えているようで、もしかしたら人間を怖がっているのかな、と推測する。みんな一緒に食べるから胃袋におさまっても寂しくないよ。

 小さな鳥の絵は、湯呑みやお皿だけではなく、爪楊枝の入った紙にも印刷されていて。その佇まいというか、フォルムが何とも言えず可愛らしいのだった。胸のところの曲線が丸くふっくらしており、さらに筆の先で描画したような、尾羽の先が黒い。

 小さな点のみで表現されたつぶらな瞳。

 

 言問団子の店舗はお菓子自体もさることながら、個人的に最も印象的だったのが、実は「お茶のおいしさ」で……。

 湯呑みを空にするたび延々と注いでくれるのは静岡産の川根茶というものらしく、これが滅茶苦茶にうまい。きちんとこのお団子に合うものをと考えられて提供されているようだが、もはや緑茶を飲むために団子を食べに行ってもいいくらい。濁らず澄んでいて、香り高く、例えるなら山の中腹の空気でも吸っている気分になる。

 隅田川沿いを散策するならふらりと立ち寄りたい場所のひとつになった。