中古の食器を扱うお店を物色した結果、ノリタケのボーンチャイナ(骨灰磁器)製品から、廃盤になったシリーズ「カリフパレス」のティーカップとソーサーを手に入れた。
コーヒーと兼用ではないティー専用のティーカップらしく、口径がとても広く、いれたての熱いお茶を飲むのに適したごく浅いつくり。全体的にかなり薄くて、釉薬に覆われた表面の艶と白色には言葉にしにくいなめらかさ、なまめかしさがある。唇や舌からは味までもほのかに感じられそうな。実際にお茶を注いだら、水の色が本当に綺麗に見えるものだからすっかり感動していた。
取手をつまんで横からティーカップの輪郭を確かめると、波打つ青緑のふちから底部、設置点にかけての曲線に僅かなくびれがあって、だから浅いところと深いところの推移がこういうグラデーションになるのだろうと分かる。淡い彩りの草花が舞うカップ内側の柄の見え方も美しかった。
良い買い物をしたものだ。
私は熱いものを食べたり飲んだりするのが非常に苦手なのだけれど、思えば、いつもそのことを半分くらい忘れている。ぐらぐら煮立ったお湯から抽出したばかりのお茶を前にしている時であっても。今の季節のように室温が低いとなおさら油断が生じるのかもしれない。さっきも少し勢いよく液体を吸い込んでしまって、口内の上顎の方が腫れた。
夜のあいだ何かを読むための用意として、でも一般的には眠る前に推奨されるようなノンカフェインの飲み物が全く好きではないので、用意したのはシンガポールのお茶屋TWG Teaのジャスミンクイーン。
緑茶ベースに茉莉花の香りづけを施したフレーバードティー。立ちのぼる香りはシャープ、はっきりとしていながら、味わいの方はどちらかというとまろやかで、より長めに蒸らして濃く出した方が私の場合はおいしいと感じる。TWGのジャスミン茶はなんというか雰囲気がやさしめ。ガツンと来るお茶よりも、リラックスできるお茶が好きな人にきっとおすすめできる。
これを強めに吸い込んでしまったから口の中が熱で焼けたのだ。せっかちなので、抽出後にさっそく注いだ1杯目が十分に冷めるまで待てなかった。だって早めに飲むのがいちばん、美味。ぬるくなっても楽しめるお茶は確かにある、それもまずはあつあつの状態で飲んでみないと、温度が低い状態の風味と比べられない。
ちなみにいわゆる猫舌を克服する方法として「舌先に熱い飲食物を触れさせない」とか「液体は啜るようにする」などという対策を耳にするのだが、残念なことに私にはあまり当てはまらないというか、とにかくある程度の温度を持つものを食べると、その食べ方はどうあれ否応なしに口の中を火傷したような状態になるので仕様がない。鋭い痛みとしての熱さを感じ、味覚が通常の状態に戻るまでもしばらくかかる。弱いらしい。強くなりたい。力さえ、あれば……。
そういう時にどうするのかというと、冷蔵庫を探ってアイスクリームがあれば出し、食べる。今日はミルク味だった。バニラではない。金属のスプーンですくった、甘く冷たくてまだ硬さのある小さな塊を口の中でゆっくり溶かす。最後にその液を飲みこむ。アイスクリームの類、粘膜が火傷気味の方が、通常時よりも幾分かおいしく感じられるのは面白い。状態異常が治癒されているように感じられるからかもしれない。
ジャスミンティーに、アイスクリームの方のミルクは合う。
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