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彷徨する自由帖

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夏目漱石の楽しい邸宅見学《カーライル博物館》日本の近代文学

夏目漱石が自らの留学体験をもとに著した、ほとんど随筆に近い短編小説。そのうちのひとつに「倫敦塔」があり、それと様々な点で対になるような位置づけの作品が、この「カーライル博物館」だった。わずかなページ数に彼独自の視点と文章表現の良さが凝縮さ…

喫茶まりも - 新丸子駅にあるレトロ喫茶店|神奈川県・川崎市

新丸子駅東口から徒歩1分、友達と雑談するのに利用した喫茶店。建物は大きな窓の外側に鯉の泳ぐ細い池があって、交差点に面した角の部分には煙草販売コーナーもある。少し古い感じの趣がそれらしくて癒し。お約束のようなかわいい食品サンプルの棚の横、扉か…

【宿泊記録】憧憬を抱いて横手館 本館西棟客室「あららぎ」へ - 大正浪漫の趣ある木造旅館|群馬・伊香保温泉

今回は運良く、以前から入ってみたいと渇望していた客室、本館西棟の「あららぎ」に滞在することができた。横手館内でも最も格調高いとされている美しい部屋。値段は他の西棟の客室と特に変わらないため、偶然にも割り当てられたら、建物好きとしては実に嬉…

現実に不思議なことが起こるから(私はロマンティストじゃないよ)

他に陸の影などひとつも見えない沖で、摩訶不思議な島を見た。航海の最中、驚くほど大きな魚に飲み込まれて、けれども帰還できた。日頃から正直にそう語っているのに、誰にも信じてもらえない旅人の気持ちで歩いているような気がする。もちろん信じてくれと…

島薗家住宅 - 瀟洒な千駄木の個人邸|東京都・文京区内の登録有形文化財

宮本百合子、高村光太郎、森鴎外。他にも数々の文化人にゆかりある千駄木の土地には、戦前に建てられ、空襲被害や倒壊を免れて今でも建っている住宅が多くある。そのうち島薗家住宅は昭和7(1932)年に竣工した個人邸であり、先の5月1日はその一部、和館の部分…

当選したはてなブログのステッカー、届きました

週刊はてなブログのキャンペーンで「オリジナルステッカー」のプレゼント抽選があり、なんとなくポチっと応募しましたら当選したとのことで、先日自宅のポストに投函されておりました。ありがとうございます! 具体的な用途と言われても正直思いつくものがな…

パインツリー(PINE TREE) - 熱海銀座の商店街にあるレトロ喫茶店|静岡県・熱海市

純喫茶パインツリーは、JR東海道線の熱海駅を出てからしばらく歩いて、銀座町の商店街に着いたらアーケードの中程に見つけられる。ガラスケースに並んだ魅力的なサンプルと、お店の正面上部にある緑色のリボンが目印。入口左側にはレトロなおもちゃを販売し…

小笠原伯爵邸(旧小笠原邸)「おはなし会」の拝聴と建物見学:長い空白期間を経て復元されたスパニッシュ・コロニアル様式の近代建築

黄昏の深く青い空を切り取って、大きな星を埋め込んだみたいな天井。等間隔に椅子が並んだ円形のシガールーム。どこだかもう憶えていない場所で写真を見たときから、ずっとこの部屋に入ってみたかった。先日その夢を叶えられたので嬉しい。4月26日に開催され…

純喫茶マイアミ - 箱根湯本駅にあるレトロ喫茶店|神奈川県・足柄下郡

塔ノ沢で日帰り温泉に浸かった帰り、午後に利用した喫茶店。箱根湯本駅の改札を出てから歩道橋を渡って、階段を下りるとすぐの場所にある。表に出ている看板の上部に大きなコーヒーカップ(MIAMIと書かれている)のレプリカが載っており、中から白い湯気がも…

いくつかの道具に見出せる誠実さ

あなたのために。あなただけのために。そういった言葉がすっかり形骸化して久しい今、お子様ランチというものは本当に素晴らしい存在だな、とさっきから考えていた。子供だけが実際に注文し、子供だけが食べることのできるメニュー。それが体現する料理。ま…

旧公衆衛生院(港区郷土歴史館)- 円形の吹き抜けホールに心も吸い上げられる、昭和初期の「内田ゴシック」建築|ゆかしの杜

何度も訪れている地域だが、私がこの旧公衆衛生院の存在に気が付いたのはつい先日のことであり、こんなところに随分と大きな近代建築があったものだ、と感心して東側から正面入口の方に回った。昭和13年に竣工した鉄筋コンクリート造りの建物。設計は、かつ…

喫茶店と近代建築系のみを記録する用Twitter・Instagramアカウントを作りました

タイトルの通りです!雑多な記録や言葉による表現など、それらとは分離しておいた方が今まで訪れた近代遺産の見返しが楽だったので、既存アカウントとは別にもうひとつ作りました。建物の名称と建築年代、わかれば設計者、また簡単な特徴を添えて写真を投稿…

大正ミステリーBLG「古書店街の橋姫」感想メモ・聖地関連

ゲーム中に元ネタとして散りばめられている要素を見つけるのとか、今までに訪れた近代遺産が背景スチルのモデルとして登場するのに気が付くのとか、シナリオ以外の部分でもわりと楽しめた。公式サイトの「奥付」ページで読める後日談、実際にはもうほとんど…

穏やかな地獄、イヴ・タンギーの絵画風、石のライオンを添えて|神戸北野異人館街

番人じみた門柱に目を留めたらその奥にいたライオンにたぶらかされて、足がもつれ、はじめは行こうと思っていなかった場所に引っ張り込まれた。坂の中腹にある平坦な煉瓦敷きの道。脇の家は旧フリューガ邸とあるが、石像横にある肝心の玄関は固く閉ざされて…

草原(ある種の傷は癒えるほどかなしくなる)

適切な薄さの白いティーカップを手のひらで撫でまわし、じっと眺めては、陶器に傷などひとつもない方がよいと考える。わずかなひびでも生じてしまったら最後、にわかに存在自体を受け入れがたくなるのが目に見えているし、食器棚にしまっておくだけでなく視…