塔ノ沢で日帰り温泉に浸かった帰り、午後に利用した喫茶店。箱根湯本駅の改札を出てから歩道橋を渡って、階段を下りるとすぐの場所にある。
表に出ている看板の上部に大きなコーヒーカップ(MIAMIと書かれている)のレプリカが載っており、中から白い湯気がもくもくと湧いている仕掛けが可愛らしかった。遊園地みたい。
調べると昭和26(1951)年の創業だそうで長い歴史があり、湯本付近では最も古い喫茶店のひとつと言われている。店内は十分に明るいけれども雰囲気が落ち着いていて、まっ白いテーブルに、ベロア風の素材で背もたれのところが波打った形状の赤いソファが魅力的。
そこに観葉植物の緑が彩りを添え、全体的な色の均衡がとれた感じになっている。天井中央の照明器具もよい。
注文したアイスティーとコーヒーゼリー。ガラスの器の表面に並んだ、丸いへこみに心惹かれた。
個人的にコーヒーゼリーは喫茶店の個性がもっとも顕著にあらわれるメニューのうちのひとつだと思う。風味はどうか、食感はどうか、またそこに何が添えられているのか……。
マイアミのコーヒーゼリーはほろ苦く、本体に甘さがない。それゆえ別途でシロップが付けられていて、好みに合わせて調節できる。生クリームに負けない濃く深みのある味わい。そして、弾力のある硬さを持っている。ぷるぷるだ。
一方、さくらんぼは柔らかくて甘い。ダージリン系のアイスティーの方もきりっとしていて美味しかったし、はじめにストレートで飲んで、残りの半分くらいはミルクを注いで味を変えると二度楽しめる。
おでんのもち巾着みたいに上部分がきゅっと絞られた照明は、黄色い花のあしらわれたステンドグラスで、これもまた視覚的に嬉しかった。
大きな窓からぼんやり外を眺めるのもよし、奥まった場所にある席でぽつねんとするのもよし、箱根湯本で気軽に休憩できるところ。
不定休で通常は朝8時半から夜6時まで営業している(詳細は都度要確認)。