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彷徨する自由帖

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【初心者向け】生活に万年筆を~仕事でも趣味でも、より書きやすい筆記具を探して

仕事の取材でメモを取ったり、趣味で書いている一次&二次創作小説の構想を練ったり…… あるいは本を読みながら内容をまとめるなど、とにかく筆記具はよく使う。主となるのは、だいたい限界まで尖らせた2Hの鉛筆か、持ち手が細軸の軽いシャープペンシル。けれ…

伊能忠敬の旧宅がある千葉県・佐原 - 川沿いの町並み保存地区と裏路地|小江戸散策(2)

岐阜の大垣しかり、この佐原もしかり。自分が歩いていて楽しいと思うのは、やっぱり水のある町なのだ。水路や運河はもう一つの通り道。飛脚、馬、自動車が行き交う地上の路から直角に逸れて、雁木を下りると細い曳舟が待っている。たとえ道路に沿い、全く同…

埼玉県・川越の町で、近代の蔵造り建築の特徴を探して歩く|小江戸散策(1)

川越の目玉ともいえる一番街の大通りに辿り着く手前で、一軒のそば店に出会う。魅力的、かつ典型的でお手本のような看板建築だった。看板建築とは町家、商店の正面のみを平らな板のように見立てて装飾を施し、行き交う客の目を惹くような意匠にしている建築…

東京・下町風俗資料館は不忍池のほとり|明治・大正・昭和の庶民生活が伺える模型の数々

小野不由美の小説《東亰異聞》で「鰯の頭」という言葉を目にしたとき、それが玄関口に飾る魔除けのことだ、とすぐに分かったのは、上野の下町風俗資料館で展示を見ていたお陰だった。私の住んでいる地域にはあまりない風習だったので、それまで存在をほとん…

滝の音が響く瀋秀園(しんしゅうえん):大師公園の片隅にある中国式自然山水庭園

// 参考サイト: 川崎大師Webサイト 大師公園(公式サイト) 先日、川崎大師の方へと足を伸ばした。 外出自粛の影響で人気のない参道を歩いていると、両脇に並ぶ塩飴や煎餅の店から呼び込みの声をかけられるのが、非常に気まずい。なぜなら周囲に誰も居ない…

厚木市古民家 岸邸|美しい色の窓硝子、細部の意匠……明治・大正期の面影を強く残す豪農の家

本厚木駅北口からバスを利用して、約30分。決してアクセスが良いとは言えず、神奈川県内在住でないとなかなか訪れにくい位置にあるが、時間をかけても見に行くに値する近代の邸宅が厚木市にある。建物は古民家岸邸、あるいは旧岸家住宅と呼ばれており、平成1…

熱海随一の和洋館《起雲閣》を訪ねて|大正~昭和初期の富豪の別邸であり、後に文豪も宿泊した旅館

JR熱海駅から徒歩25分程度、ちょうど糸川と初川の間あたりに、広い敷地を持つ立派な元別荘がある。周囲をぐるりと塀に囲まれているため、高台から見下ろすか、実際に中に入ってみないとその容貌は伺えない。現在の名前を「起雲閣」というそうだ。ここは実業…

記事を寄稿しました:熱海の坂道と、レトロな建築群に誘われて。気が付くと旧糸川赤線の岸辺へ…… - WEBメディア〈すごいお雑煮〉へ

先日webメディア〈すごいお雑煮〉さんにて、熱海散策中に遭遇したレトロな建物や、昔の遊郭跡を覗いてみた記録を掲載していただきました。熱海には何度も足を運んでいるのですが、行くたびにまだ開拓していないエリアの存在に気付かされるので、全く飽きませ…

理想と倦怠と諦念、そして捨てきれない希望

自分にとって…… 旅行や散歩に行ったり、建築に心寄せたり、本を読んだりするのは、全て素晴らしい物語を探すための行為に他ならない。そこから得られる「尊い何か」を、私はこよなく愛している。物語に触れるたび、描写されているものをそのまま体験する感覚…

新潮文庫版《十二国記》を一気読みする至福 - 王と麒麟と国、そして民衆の物語

君の好きそうな、ぐっとくる主従関係が描かれているよ——と教えられて、その長編小説に脇目もふらず手を出した。結果、ものの見事に落ちてしまったのだ。底の見えないほど深い深い沼に。ステイホーム期間中に、全巻を読みました。十二国記は1991年に刊行され…

旧前田家本邸|英国の雰囲気を纏う駒場公園の洋館

夏の爽やかな緑を抜けると、忽然と館の入り口が現れる。英国カントリーハウスを彷彿とさせる煉瓦の外観、車寄せ、そして……玄関右に聳え立つ、とんがり屋根。東京都目黒区の一角、格式の高そうな住宅群に囲まれた駒場公園内には、重要文化財に指定された昭和…

旧岩崎邸庭園|代表的な明治時代の洋館と秋の庭

正面玄関上には、天辺に風見鶏をいただく美しい塔屋。近代の洋館と聞いてこの旧岩崎邸の名を挙げない者はまずない。そのくらい広く知られている場所だし、建物自体も素晴らしく、何度でも足を運びたくなるような魅力に満ちている。土日祝日などは混雑のため…

【終了しました】自作の短編集《彷徨する窓》の電子書籍を販売します

昨日やっと、諸事の合間にちまちま執筆を進めていたものが完成したので、ひとまず開設したBASEのショップにて電子書籍としてPDFデータを販売してみます。小説で、内容としては主に「存在しない場所・物事」の見聞録になっています。どこでもない国々で見聞き…

蒼穹の大山阿夫利神社へ雨乞いに - 神奈川県・伊勢原探訪|日帰り一人旅

どこか標高の高い場所へ行こう、と思い立ったのに、さしたる理由はなかった。……強いて言うなら、空気がひどく乾燥していたからかもしれない。昨年の1月末から2月にかけて、かなり長いあいだ、雨の降らない時期があったことを覚えている。あまりにも湿気が足…

人を喰う城郭

音を吸う存在としてよく話題に上るのは雪だが、実際のところ、石も似たようなものだと思う。特に、柔らかいもの。表面が磨かれておらず微細な穴が開いていたり、経年による風化で、少なからず傷が付いていたりするものが。それに気付かされたのが多分この場…