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彷徨する自由帖

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【初心者向け】生活に万年筆を~仕事でも趣味でも、より書きやすい筆記具を探して

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 仕事の取材でメモを取ったり、趣味で書いている小説の構想を練ったり…… あるいは本を読みながら内容をまとめるなど、とにかく筆記具はよく使う。主となるのは、だいたい限界まで尖らせた2Hの鉛筆か、持ち手が細軸の軽いシャープペンシル。

 けれど今年に入ってからは、自分にはあまり縁のない筆記具だと思っていた「万年筆」を日常的に手にするようになった。

 もともとペン類の書き味や筆跡が苦手で、ボールペンに筆ペン、ガラスペンなど色々と試してみても合わず、折角用意したインクは机の上に置きっぱなしになっていたから、案外丁度良かったのかもしれない。きっかけは文具店での試し書きだったと思う。

 その感触が忘れられなくて、少しずつ買い集めた数本を毎日用途に応じて使っている。

 

 今回のはてなブログのお題が「#買って良かった2020」ということで、いつもペンケースに入れている顔ぶれと、それぞれの特徴を記事に残しておきたい。現在所持しているのはお手軽~中価格帯のものなので、最も買い求めやすい価格のものから順番に。

 いつか身の丈に合うようになったら、高くても生涯を通して使える一本を選んで購入したいので、 頑張ってお金を貯め、修行もします。

 

目次:

 

個人的な万年筆の使用感

  • 格安(約500~1500円)

日販《Fonte》

 

 日本出版販売株式会社による格安万年筆、Fonte(フォンテ)。

 以前から文具系のイベントで話題になっているのを見かけていたけれど、ある日立ち寄った書店で会計前にこれが置かれているのを目にし、1000円以下という手頃さに惹かれて購入してみた。

 内部の透ける本体は全6色で、最近はキャップの色を自由に選べるバージョンVol.2も。後者はクリップ部分が全て金色で統一されたらしい。

 専用カートリッジのほか、付属のコンバーターで好きなインクを入れることができる。字幅はF(細字)のみ。書き味は滑らかで、鉄ペン特有のカリカリとした感じがあまりなく、線が太目でゆったりしている気がする。インクの色を楽しむのに丁度良さそう。

 

 

 

 書くとき、キャップが軸の後ろに嵌まりにくいかもしれないが、少し強めに押し込むと一応固定できた。短くて持ちにくいと思ったら試してみてほしい。

 とりあえず万年筆に触ってみたい、という人にまずおすすめできる1本。

 

パイロット《カクノ》

 

 国産の万年筆は特にEFやFなど、細い字幅のものが本当に使いやすいと感じる。

 このカクノ(私が使っているのは細字のF)もそうだし、後述するソーダカラー万年筆も同じ。小さな文字でもくっきりと書けるため、仕事では文面に赤入れをしたり、面積の小さなスペースに沢山書き込んだりする場合に重宝している数本。

 インクの吸入は対応するカートリッジかコンバーターで、実際に売られているものはコンバーター付きのものとそうでないもの、2種類がある。字幅はEF、F、そして中字のM。

 書き味はサクサクとした固めの印象で、素早く筆を走らせても細字なのにかすれず、どんな時もくっきりとした文字を書ける優れもの。プラスチックの本体が非常に軽いので持ちやすいのも魅力的。持っていて損はない。

 

 

 

 ペン先にあしらわれた笑顔のマークがかわいらしい製品。

 

 

 

パイロット《ソーダカラー万年筆》

 

 ソーダカラー万年筆はその名の通り、喫茶店の青いソーダ水をイメージした色のポップな万年筆で、同じパイロットから発売されている「ペン習字ペン」の派生になる。

 私は極細字のEFを購入してみた。軸が半透明なので、同系色の色を入れたらきっと綺麗だろう。ひとまずカートリッジの青を装着することに。

 極細、というだけあって本当に繊細な線が引ける印象。文字以外にも、例えばスケッチなどで陰影をつけるようにペンを動かしても、きちんと描画ができる。書き味はカクノに似ていて鉄ペンらしい感触が特徴だ。かなり硬め。

 また、持ち手部分にグリップが付いているため、つい筆記中にペン本体を回転させたり、ペン先を斜めにしたりしてしまうのを防げる。正しい持ち方できっと字も綺麗に。

 

 

 

 基本的にコンバーターは付属していないが、対応するものを買えば、色々なインクを吸入して使うことができる。

 

プラチナ《プレジール》

 

 つるりとした金属的な外観の万年筆、プラチナのプレジール。

 重要な部分を強調したり、アンダーラインを引いたりするのに適したものが欲しくて、中字のMを購入した。カラーは2020年限定色のティールグリーン。鴨の羽根を思わせる深い青緑に、マットな加工の施された表面が目に優しい。

 上で紹介した3本に比べて、低価格帯万年筆の中ではこれが最も書き味の滑らかな部類に入ると思う。字幅が太めなのもあり、スルスルとインクが出てきてペン先が紙に引っかかるようなことはない。とめ・はね・はらいを明確に表現できるので、書写をする際の筆運びが心地よいものになること請け合い。

 プレジールも含め、プラチナの万年筆の大きな特徴はそのキャップにある。特別な機構を採用しているため、長期間使用せずにいてもインクの水分が蒸発せず、いつでも新鮮な書き味を得られるとのこと。

 

 

 

 生活に万年筆を取り入れる際、大きな懸念の一つは頻繁な手入れの必要性だと思う。

 プラチナ万年筆ならすぐにインクが固まってしまうことが無いため、普段そこまで文字を書かないよ、という人でも側に置いておきやすい。

 

 

 

 

  • 手頃(約2000~5000円)

LAMY《サファリ》

 

 ドイツの文房具メーカー、LAMY(ラミー)の万年筆サファリ。

 本体の鮮やかなカラー展開と値段の手軽さで人気を集めており、毎年発売される限定色の存在も見逃せない。私が所持しているのは、2019年が初出のパステルミントグリーン。デザインが同じで本体の素材がアルミの「アルスター」という種類もある。

 キャップ部分に付いている大きなサイズの針金クリップと、インク残量を都度確認できる縦長の小窓、グリップ風の持ち手が大きな特徴。使っている字幅は極細のEFだが、国産…… 例えば上記のソーダカラー万年筆EFに比べるとわずかに太い。傾向として、海外ブランドの万年筆はその傾向にあるようす。

 個人的に、このラミーのサファリは少し文字がかすれやすいと感じている。それが字幅のせいなのか自分の書き方の問題なのかは分からない。

 何度か洗浄しているけれど、きちんと乾燥させてインクを入れた直後はスムーズだが、また色が出なくなることもしばしば。もう少し使用してみて様子を見たい。

 

 

 

 購入時に巻かれている茶色のボール紙はストッパーなので、外してからコンバーターやカートリッジを差し込み、螺子をしめよう。

 

PARKER《IM》

 

 イギリスの老舗文房具メーカー、PARKERの万年筆は世界でも人気が高い。

 代表的なラインには品質に比例して高価なものが多いが、その中でお手頃に買えるものもいろいろある。うちの一つがIMで、入学祝や卒業祝のプレゼントに最適な価格帯。

 細字のFを手に取ってみたが、やはり前述したとおり、国産のFよりも濃く、くっきりとした線が引ける。中字と中細の間といった感じで結構太い。何かをまとめる際の見出しや、強調したい文字列にこれを使うと分かりやすいかもしれないと思った。書き味は固めの鉄ペンながら、滑らか。インクはわりと多めに出てくる。

 本体に比較的重量があるので安定しており、署名などにも向いていると思う。ブランドを象徴する矢羽根型のクリップは手帳やポケットに挿しているだけで楽しい。

 

 

 もう一段階価格帯の下がったものだとジョッターというシリーズがあり、そちらも初心者におすすめ。3000円以内で買える。

 

 

 

  • 中価格帯(約1万~1万5千円)

銀座伊東屋《ROMEO Mighty》

 

 横浜・元町のショッピング街にある文房具店の銀座伊東屋にて、本体の色を好きなように組み合わせた万年筆「My Mighty」が作れると聞き、行ってみた。写真が完成したものになる。

 実際に体験してみてとても楽しいと思えたし、ペン自体の書き味も良く、常に持ち歩いておきたい一本になった。

 このMightyという万年筆は銀座伊東屋のオリジナルで、実用に特化した筆記具として大正時代に生まれたものの復刻だそうだ。真っ直ぐな細めの軸は持ちやすく、長い時間握っていても手が疲れない。字幅はFを選んだ。今記事で紹介したものの中では、おそらく最も頻繁に使っている。

 また、キャップ部分の頭に刻印されたMightyのMと、ローラーの付いたクリップがかわいい。選択するパーツのカラーや種類にもよるが、だいたい9千円~1万円程度で自分だけの万年筆を作ることができるので、興味のある方はぜひ。

 詳細は以下の公式ページにて。

 

 

 

 なお、カスタマイズではない通常のMightyも、店頭およびオンラインショップで購入できる。

 

セーラー《四季織 おとぎばなし》

 

 これが今のところ、私が所持している中では唯一、ペン先に金(14金)が使われているものになる。字幅は中細。サラサラと紙の上を走る書き味は快適で、どんな場面でも活躍してくれてありがたい。

 キャップがくるくる回すタイプのため、ペンケースの中で外れてしまったり、クリップを挟んでいる時に本体が落ちてしまう危険性が少ない。

 お伽噺の世界から四季の着想を得て形になったこのシリーズは、写真の「織姫」の他にも「龍宮城」「かぐや姫」「機織り鶴」など、名前を聞いただけで心惹かれてしまうような顔ぶれが揃っている。

 無理なく手に収まるサイズの軸は、紺色にあしらわれている細かなラメも魅力的。コンバーターとカートリッジの両用式なので、同じセーラーから発売されている四季織インクシリーズのうちから色を選んで吸わせるのも楽しいと思う。個人的なおすすめは「中秋」。

 

 

 

 四季織は定期的に新しいシリーズが展開される(そしてどれも可愛らしい)ので、ときどき情報を確認しておきたい。

 最近では「雨音」というシリーズが発表された。これらは24金のペン先になる。

 

 

 ……という感じで。これらが主に、今年買って良かった万年筆でした。

 色々試してみて、しばらく後にペリカンのスーベレーン青縞を購入しています。

 

 

 そしておまけ:

 

 

 万年筆を使って小説を書写し、文章の勉強をするのに最適な「ブックスタンド」も良いお買い物でした。

 手を離した状態で書籍や冊子のページが固定でき、書くことだけに集中できるのでいつも使っています。また各種の資料を開いたままにしておけるため、きっと絵を描かれる方にも便利かと。

 おすすめです。

 

 

お題「#買って良かった2020