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彷徨する自由帖

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洋菓子店 えの木てい - 西洋館2階の個室でアフタヌーンティー|横浜・山手の丘

 

 

 

 

公式サイト:

横浜山手・洋菓子のえの木てい

 

 

 2020年の初春に足を運んだのが最後だから、前回の訪問からしばらくの時間が経過している。茂る緑の影に彩られた横浜山手の洋菓子店、かつ土地の名物たる西洋館のひとつ、山手89-6番館……現在の「えの木てい」。

 昭和2年の建物で、設計は建築家の朝香吉蔵である。ちなみに彼は隣に立つ山手234番館の設計も手掛けており、ふたつの間に立って煙突側面を比べてみると形が似ていたため、なんとなく共通の雰囲気が感じられた。

 ここは時折、各種作品のロケ地や背景としても登場することがあり、代表的なものにはドラマ「岸辺露伴は動かない」やゲーム「金色のコルダ」があるようだ。

 

 

 近代建築の洋館や和室、その内部に喫茶室など飲食可能な空間を設けているところは国内に数多く存在している。なかでもえの木ていは全体が洋菓子店で、予約すれば2階の個室を貸し切りにでき、何にも気兼ねすることのない空間でアフタヌーンティーが楽しめる稀有な場所。

 ふつうに西洋館の一角でティータイムを、というのももちろん良いが、部屋自体を借りるとなるとまた別のときめきが湧き上がってくる。

 個室の利用料金も、食事代を別にすると2時間で2200円、しかも同時に6人まで収容可能という手頃さだから恐れ入る。以前からずっと体験してみたかったので、期待に胸をはずませながら友達と赴いた。

 選択肢には「季節のアフタヌーンティー」と「薔薇のアフタヌーンティー」があって、今記事では薔薇のアフタヌーンティー(3080円)の方の品目を紹介する。

 

 

 ケーキスタンドが運ばれてくる前に用意されていたのは、ウェルカムドリンクのノンアルコールシャンパン。

 ブルガリアンローズシロップを使用したものだそうで、この味わいが何とも言えず「生の薔薇」を想起させるものだった。植物の青い感じが確かにあるのだが、それがえぐみとして現れず爽やかでいくらでも飲めそう。

 この日は外が暑かったので、冷たい液体が命の水みたいに染み渡った。

 そして紅茶やコーヒー(アイスかホット)、ローズティー(ホットのみ)、オレンジジュースのうち好きなものを選ぶと、わくわくするようなお茶会が始まる。選択したローズティーはとても満足のいく風味と香りで嬉しかった。

 

 

 3段になったスタンドの各皿は下からサンドイッチ、デザートのケーキ類、スコーンの順に並んで構成されている。

 サンドイッチの食パンは表面が少し焼かれていて、内側にうっすらと塗られたバターとマヨネーズ、マスタードが挟まれた具材の味を引き立てるようにそっと主張する。ハムにチーズにきゅうりが正統派な感じ、添えられているピクルスが途中で味にわずかな変化を与えてくれるから、サンドイッチが4つ並んでいても飽きない。

 印象に残ったのはスコーンの焼き加減とクロテッドクリームの存在。外は硬く、内部はしっとりしたスコーンを割って載せるのは、ジャムを除けばクロテッドクリーム以外にありえない。ときどき別の場所で、代替として生クリームが提供される場合もあるのだが、そうなると私は泣いてしまう……。

 最後に食べたロールケーキ、ミニケーキ、そしてババロアのような滑らかなデザートはいずれも甘さがきつくなく、きちんと個々の味を持っていたので最後まで美味しく楽しめた。

 

 

 個室には暖炉や洋燈、時計といった古い物品が置かれていたり、近代の洋館らしい上げ下げ窓を間近で見ることができたりと、貸し切りの空間のなかで浸れる雰囲気がある。2時間はあっという間だった。

 そして、入退室の際にはぜひドアノブにも注目してみてほしい。

 当ブログでも何度か言及している透明なドアノブがこの個室にもあって、握るたびに蠱惑的な光を放つものだから、視界の全てがだんだんきらめきを帯びているように感じられたものだった。どうも大正後期から昭和初期に竣工した建物に使われている傾向があるみたい……。

 他の場所にもまだ残っているはずのそれらを、これからも探しに行く。

 

 

 えの木ていの2階個室の予約は公式サイトから。枠が1日2組で、時間は

・平日の場合

12:30~14:30 or 15:00~17:00

・休日の場合

12:00~14:00 or 15:00~17:00

……のどちらかになる。

 

 いずれ変更があるかもしれなので、都度、公式のページを参照するのがおすすめ。