分散型、時に連合型と呼ばれるSNSのなかでも、ActivityPubという通信プロトコルを使用している「Mastodon(マストドン)」に触り始めて数か月が経った。
最初(過去)のアカウント:
引越し後(現在)のアカウント:
まずmstdn.jpにアカウントを作成してみて、現在は引越し先のFedibirdというインスタンスにいる。ここでいうインスタンスはサーバーのことを指す。
当初は「分散型? Fediverse? うーん……言葉として中央集権型と異なる場所に位置するのはなんとなく分かるけれど……具体的な『感じ』は一体どうなのかな」と戸惑っていたが、しばらく弄ってみるととても面白いし、趣味や生活の話題を軽く共有したい気持ちを良い形で昇華できる、楽しいツールだと思っている。
自分のホームタイムラインに流れてくる投稿は時系列順で、何か呟く(トゥートする)際は公開範囲をある程度自由に決められ、場合によっては「CW(コンテンツ・ワーニング)」を指定すると【もっと見る】のように本文の一部を隠すことも可能。ミュートワードに登録した単語が含まれる投稿以外、間引かれることもない。
はじめの頃は人を見つけたり、特定の話題や何かの感想を検索したりするのに骨が折れるかもしれない(私は実際そうだった)が、慣れれば結構簡単だった。でも奥深い。
このブログ記事では個人的な振り返りも兼ねて、利用方法の一例を紹介する。
操作画面などは基本的に「Fedibird」のものになるので、サーバー毎のより詳しい違いを知るには他の方のサイトやブログもご参照ください。
全然何も分からない地点から手探りで楽しさを発見していこう、という主旨の記事になります。
目次:
所属するサーバー選び
※知っておくと便利かも:
同じActivityPubに対応しているサーバー同士であれば相互に繋がれるので、例えば自分のMastodonのアカウントから、Misskeyなどにいる誰かのアカウントを「リモートフォロー」して投稿を見ることも可能である。
ちなみに、現時点ではまだActivityPub対応していないTumblrや、MetaのThreadsも今後そのようになる予定だと一応示唆されている(ただしこちらの方はいつ実現されるのかまったく不明)。同じ分散型でも、Blueskyが採用しているのはまた別のAT ProtocolなのでActivityPubとは繋がらない。
多くの人が真っ先につまずくのはサーバー(インスタンス)選び。
この時点で、発言・閲覧したい話題や属性、あるいは具体的な目的を決めてアカウントを作らなければならないのか……と思わされるが、実のところ必ずしもそういうわけではない。厳密なテーマ別に分かれたインスタンスではなく、特に「汎用サーバー」とされているもの、なかでも登録者数がわりと多いところを選べばいわゆる雑多なアカウントの運用はしやすい。
重要なのはインスタンス毎にルールや独自の機能がある点。
利用規約をきちんと確認した上で、雑多アカウントの運用できそうなところにまず行ってみるのは大いにあり。
個人的なおすすめは、友達や別SNSのフォロワーなど、身近な知り合いが登録している場所をとりあえず覗いてみること。ちょっと心細くなくなる。
ちなみにMastodonの場合は大抵のインスタンス間でアカウントの引越し(後述)が可能なので、一旦登録してみて、雰囲気や操作感が合わなければ違うところに移る手もある。気軽に初めてみよう。汎用かつユーザーが沢山いるなら、場の空気を読むためにローカルタイムライン(そのサーバーに登録している全ユーザーの投稿)を常に確認していなくても良いはず。
特定の目的に依らず利用できるマストドンの汎用サーバーの中で、比較的登録している人を多く見かける例としてはこのあたりだろうか:
【mstdn.jp】
【pawoo.net】
【Fedibird.com】
【mastodon-japan.net】
【toot.blue】
【mastodon.social】
私が現在いるFedibirdに関しては新規登録に招待コードが必要なので、どこかでやり取りしたことのある方で、もしもご興味のある人がいれば教えてください。リンクを送ります。
少しFedibirdの紹介をすると、LTL(ローカルタイムライン)が存在しないので「界隈の色」のようなものが特になく、基本的には何でも個人で自由に呟いていたい人向け。反対に、同じサーバー内での交流がしたければ #fedibird のハッシュタグをつけて投稿すれば反応がもらえるから、会話やフォローのきっかけになるかもしれない。
そこを管理してくださっているのは のえるさん(@noellabo)。運営方針や各種機能に関して定期的に情報発信を行ってくれているのがなんとなく安心という気がする。もう、わけのわからない経営者に振り回されるSNSの側面には懲り懲りしてきた……。それはそれで利点もあったのだけれど。
Mastodonなど分散型SNSは、インスタンスの居心地や運営に対して思うところがある場合、基本的にフォローやフォロワーのデータをダウンロードして(できない場合もある)別のサーバーにアカウントをお引越しできるのが大きな利点。集権型だと、サイト内のどこへ逃げても同じ経営陣の手が伸びている、という状況になってしまうので。
投稿とリアクション
上の画像が実際の投稿画面、入力欄。
入力欄の右下にあるのは入力可能な残りの文字数だ。Fedibirdの場合はひとつの投稿につき、最大560文字まで。私は内容を文字数ぎりぎりまで詰め込むのが好きなのだけれど、その場合、なるべく改行を使うと読みやすい。
下部に並ぶアイコンはそれぞれ、画像添付、投票機能、公開範囲指定、コンテンツ・ワーニング(CW, 一部を隠す)、予約投稿、検索範囲指定となっている。特にCWはネタバレを含む感想の共有に便利。
そして、ここに表示したのが選択できる公開範囲。でもインスタンスによって細かな特徴は異なる。
・公開 - 誰でも閲覧可、公開TLに表示
・未収載 - 誰でも閲覧可、公開TLに非表示
・フォロワー限定 - フォロワーのみ閲覧可
・相互フォロー限定 - 相互フォローのみ閲覧可
・サークル - サークルで指定したユーザーのみ閲覧可
・ダイレクト - 送信した相手のみ閲覧可
・自分限定 - 自分のみ閲覧可
私がmstdn.jpからFedibirdへとお引越しした際のトゥートがこちら。
#自己紹介 や #fedibird などのハッシュタグを使ったので、それ経由で投稿を発見してくれた人たちの絵文字リアクションが下部に表示されているのが分かると思う。
スタンプ感覚で押せる。
また、星マークをポチっと押すと単純にお気に入り、いわゆる「ふぁぼ」の反応ができる。ふぁぼをつけた投稿は、あとから自分のお気に入り欄で見返すことが可能。別途ブックマーク機能(相手には通知が行かない)もあり。
ユーザーや投稿の検索
Fedibirdには全文検索機能に近いものがあるものの、そこまで精度が高いわけではなく(でも最近かなり充実してきたみたいです)、基本的にMastodon内での検索は「ハッシュタグ」を用いることになる。
話題や作品名、好きなもの、地名、その他……できるだけ細かく投稿の末尾にでも記載しておくことで、趣味の合う誰かと出会える確率が上がるだろう。
個人的によく覗いているハッシュタグといえば:
#本
#読書
#マストドン読書部
#マストドン紅茶部
#喫茶店
#文房具
#万年筆
#旅行
#散歩
#雑談
#日記
……など。
好みの投稿をしているユーザーがいたら、たまにその人のフォロー欄を覗いてみるのも興味を広げるのには多分役に立つはず。そこから似たような人を探したり、もしくは思いがけず別ジャンルの面白いアカウントを見つけたりとか、のんびり楽しむのが吉。はじめのうちはリアクションをもらったら相手のプロフィールまで飛んでみるといい。
Twitterなどの全文検索に慣れているとハッシュタグをつけるのは面倒かもしれないけれど、このひと手間をかけることで、楽しいものに出会える確率がぐっと上がる。他の人からも発掘してもらえるようになる。
ただし、いわゆる「万バズ」のような爆発的な反応の広がり方がほぼ発生しないのが分散型の特徴でもあるので、輪の外側から大量に予想外のリアクションをされたり、フォローされたりする機会は基本的にない。地道に発信をしたり、他人の投稿に反応をしたりすることで、かなりゆるやかに繋がる人が増えていくはず。
基本、非商用だし狭義のビジネス目的には向かない。
見たいものを選択できる自由、所属する場所を選んで、得る情報を管理する自治の感覚、そういうものを求める人に向いている。なので「おすすめやトレンドの概念(勝手に押し付けられるもの)が苦手な人」は一度お試しあれ。
アカウントの引越し
Mastodon内でのアカウント移動はとても簡単だったので驚いた。
基本的には引越ししたいインスタンスに新規アカウントを作成したあと、以下のページに記載されている手順で問題なくできる。
フォロワーは自動的に移動される(たまに移動できない場合もあり、その場合は手動で)一方、フォローに関しては引越し前のアカウントで「ユーザー設定」→「インポート・エクスポート」からフォローユーザーの情報をCSV形式でダウンロード(エクスポート)しておく必要がある。
無事にアカウント移行後、今度はその引越し先で再度「ユーザー設定」→「インポート・エクスポート」を選択し、フォロー情報をアップロード(インポート)。これで元通りに全員をフォローした状態になった。
過去の投稿は新しいアカウントにそのまま持ってこられないのでそれだけ注意。代わりに、投稿本文とメディアのアーカイブはダウンロードできるため、自分で保存しておくことは可能だった。そのうちこれも移行できるようになるかもしれない……?
私もまだ超・初心者だけれど、Fediverseの世界、そのうちActivityPubで繋がれる領域に片足を突っ込んで学びながら遊んでいます。
よかったらこれを機に分散(連合)型SNSの海を泳いでみませんか。魅力的で面白いですよ。
おまけ:ブログにTLを埋め込む
Mastodonのタイムラインをブログ記事の横、サイドバーに表示したい……と思って先人の方々のブログを検索していたら、Mastofeedを見つけました。
以下URLにアクセスして各欄に必要事項を入力し、Generateを押すとコードが生成されます。数値はお好みで調整してください。
Mastofeed - embeddable Mastodon feeds
当ブログでは、それぞれ
・幅=250
・高さ=800
・UIスケール=85
・テーマ色=Light
・ヘッダーを表示しない
・リプライとブーストを表示しない
……で埋め込んでいます。ご参考までに。