公式サイト:
噂の昭和レトロなハトヤホテルに宿泊し、温泉に浸かったり、ふらふら散策したりするのに訪れた伊東の町。
駅から飲み屋街を通り抜けて歩いて、細い路地に「宵まち通り」と看板が掲げられているのを横目に進むと、アーケードに行き着いた。閑散としてはいるが、全部が全部閉ざされている感じでもない。昼間の、ちょっと寂しい趣ある温泉街の商店街。そこに佇んでいる「スイートハウスわかば」。
お店の側面、緑のひさしが並んでいるのを見るとまさに若葉の葉を連想させられる。白いタイルの壁から生え、茂った工業的な草。なかなか魅力的だった。
公式サイトによれば、創業は昭和23(1948)年とのことで結構な古さだ。アイスキャンディーやアイスまんじゅうを手作りする喫茶店を経て、現在あるソフトクリームの店へと発展した旨が書かれており、大部分のメニューが今も手作りで生産され提供されているのだそう。
そんな説明を読んでしまえば、やはりオリジナルのアイスが使われたメニューを何か注文せずにはいられない。クリームソーダともう一つ、メロンミルクジュースの上に乗せられた、たっぷりの白い塊。
大きな釜で作るアイスは、夏季と冬季で味に変化を持たせているそうで、工夫とこだわりが伺える。私達が訪れたのは肌寒い頃だったから、きっと甘めのレシピのものだったはず。なめらかでおいしい。シャリシャリした感じは全くなく、かなり柔らかいタイプのアイスクリームであり、掬って口に含むと牛乳の味が染みわたった。
それから食べ物として、ポテトピザトースト。食パンの上にポテトサラダとチーズが敷かれ、焼き立てアツアツの状態で提供される横に、ポテチが添えてある。
個人的にはタバスコを全体に何滴か振りかけて、味を辛めにするといっそう楽しめた。使われているマヨネーズも自家製とのことで、文字通りにここでしか食べられない、というのは単純にいいなと思う。素朴で優しい味、特別な感じなど全然ないことがむしろ特別なのだった。
店内の内装も、昭和創業の喫茶店らしい雰囲気。
折り上げ天井の縁を飾るネオンの線と壁のレリーフ、その周囲に何時間でも座っていられそうなのんびりした空気が流れていて、冬でもアイスクリームをおいしく食べられるくらい店内は暖かかった。