長野、南木曽散策からの帰りに立ち寄った中津川駅、そこで偶然発見した喫茶店。
単純にそのあたりのベンチで電車を待つつもりが、待合室の奥に何かがあると思わなかったので驚いた。白い壁に埋め込まれたような木とガラスの引き戸、昭和感溢れるCoffeeの看板の文字、果ては「コーヒースタンド」のシンプルな店名まで色々と完璧に見える。その隣に暖簾を掲げる「根の上そば」とは経営が同じ梅信亭らしく、厨房も繋がっている。
その梅信亭の弁当販売ブースがまだホームに残っているものの、駅弁業界の方からはすでに撤退し、営業はしていないようだった。調べると明治36年に「中央線開通に合わせて弁当部を創り……」とのことで、結構歴史がある。
きっと蕎麦屋もこの喫茶店も、具体的にいつ開業したのか記載はなかったが、それなりに古いお店のはず。
喫茶コーヒースタンドの店内には小ぶりのテーブルが3つと、カウンター席がいくつか。使われているものが全体的に黄色で統一されているようで可愛らしい。どこか、インコの羽根の色みたいで。
朝はモーニングサービスもあるようだけれど、残念ながらこの日は時間を過ぎていたので普通にアイスコーヒーを注文した。このグラスの感じ好きだなあ……! 大ぶりの水玉を思わせる、丸い凹みが手になじむ、掴みやすい形状。お冷の注がれたグラスの方のうす緑色も良い。ハッカ飴でできているみたい。
アイスコーヒーの味は苦みも酸味も少なく、まろやかだった。外が暑かったので本当に命の水である。午後にはアイスクリームセットも販売しているようだったので、夏場はきっと重宝されるだろう。
ちなみに、親しみやすい感じのマスターがいる。Googleのレビューを見てみると同じことを書かれている方々が多かったので、多分いつもいらっしゃるのだろう。レトロ喫茶は入りにくいイメージの場所も多いので、来客が歓迎されていることがわかるとありがたい。
コーヒーに付いてくるお茶請けは豆菓子。楽茶待夢、と書いてある袋にもなんだか時代を感じた。素朴な香ばしい豆は延々と咀嚼していたくなるおいしさ。
空間としても居心地が良くて、かすかにテレビの競馬実況と列車の音が聞こえてくる、完全に無音ではない親しみやすさがある。それも駅に付随している場所ならではの雰囲気かも。支払いには現金のほか、paypayが使える。
ここ、入り口から反対に位置するホーム側にも小窓の横に看板が出ていて、具体的な値段の表記などはなかったものの、もしかしたら蕎麦屋と同じようにそこから注文できる可能性が……?
ふたたび中津川に立ち寄る機会があったらまた行きたい場所リストに追加された。