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彷徨する自由帖

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読書

《死後の恋》夢野久作 - ロシア|近代日本の小説家による、外国を舞台にした短編のお気に入り(3)

王朝文化が栄華を極めた帝国から、ソヴィエト連邦への変遷をたどったロシア......この時期に囁かれた「アナスタシア伝説」を題材にした作品は多い。私の愛するミュージカルアニメ映画《Anastasia(1997)》や英国ロイヤル・バレエの演目のほか、最近ではスマ…

《倫敦塔》夏目漱石 - イギリス|近代日本の小説家による、外国を舞台にした短編のお気に入り(2)

これを読んでいる方々の中に、空想を日常的に好んで行うと自認している人はどの位いるだろうか。もしくは、普段から意識していないのに頭の方が勝手に働き、色々な出来事がどんどん脳内で展開してしまう、という人。その数は決して少なくないと思うし、かく…

《うたかたの記》森鴎外 - ドイツ|近代日本の小説家による、外国を舞台にした短編のお気に入り(1)

本が好きだ。なかでも、小説を手に取ってよく読む。 けれど「読書家である」と胸を張って言えるほどに冊数を重ねているわけではない。この世の中には"本の虫"としか表現のできない類の人達が沢山いて、一日に一冊以上の本を、まるで息をするように読んでいる…

英国が舞台の児童文学《小公女》より - 飢餓に苛まれながら、他人にパンを与えることができるか|F・H・バーネットの小説

これは、言わずと知れた名作児童文学《小公女》の終盤にある場面。孤児になったと思われていたが身元の引受人が現れ、ミンチン女子学院を去ることが決まった少女・セーラと、紆余曲折の末にようやく彼女を見つけた資産家・カリスフォード氏の間で交わされた…