前回:
2024年6月までのおおよそ半年間で触れる機会があった青茶や緑茶など、中国および台湾で産出されるお茶や、緑茶をベースに香りが付けられたフレーバードティーおよびハーブティーの記録。当時から各種SNSに残しておいた写真をこちらにも。
紅茶以上に初心者の分野なので、手探りしながら道を進みつつ、またこれから新しいお茶に出会うのが楽しみ。
今回お茶ブログ①~③を更新してみて産地へ実際に足を運びたい気持ちが強まりました。年内は何とも言えないですが、近いうちにインドやスリランカや中国の茶園を見学しに訪れたいと思います。
目次:
中国茶
浙江省
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安吉白茶(緑茶)
浙江省安吉県で生産されたお茶。名前には白茶とありますが、これはあくまでも茶葉の種類・その若芽の色味から取られた呼び名であって、お茶自体の分類は「緑茶」になります。
そもそも緑茶は、不発酵の(加熱処理して酵素の働きを止める)製法で作られた幅広い種類のお茶を指す言葉。一口に緑茶と言ってもさらにその中で異なる種類に分かれており、この安吉白茶を含む中国緑茶の多くは釜炒りという行程で火が入れられるようです。一方、日本の緑茶は釜炒りもありますがどちらかというと「蒸す」ものが多いのだとか。
安吉白茶はデリケートな感じがするふんわりとした風味で、自分がこれまでにあまり触れたことがない種類の緑茶だと感じました。青みがかった甘い香り……。時間をかけてゆっくり楽しまないと逃げていきそうな雰囲気。
横浜市民なので、近隣の中華街にあるお店で購入。
福建省
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水仙茶(青茶)
水仙はいわゆる「黒烏龍茶」のことなんですね……!
昔は市販のものを買うばかりで、茶葉からいれて飲んだことがあまりありませんでした。試してみると、丸みを帯びた優しい甘さと落ち着きが、自分が知っていると思い込んでいた烏龍茶のものとはだいぶ異なっていて驚いた。おいしい。
特に2煎目以降になると、水の色が赤みを帯びているのだとよく分かる、うすいピンクのような趣が出てきておもしろい。そして淡い香りの中にぐっと甘みが増す。そんな丸みのあるお茶の風味は焙煎ごまドレッシングにとてもよく合ったので、この時はトルティーヤのラップサンドと共に。
食欲があまりない時にも多少はご飯が食べられるような気にさせてくれるので、烏龍茶は頼りになるし、いつでもそばにいてほしい。
これから暑くなるにつれてもっとそう思う機会が増えることでしょう。
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清香 烏龍茶(青茶)
焙煎が軽めの鉄観音茶、烏龍茶でありながらまるで緑茶のような色合いが新鮮。烏龍茶は青茶に分類されていて、例えば不発酵の緑茶とは異なり、半発酵させたお茶ということになります。発酵の度合いにも焙煎の度合いにも幅があり、沢山のバリエーションがあって目が回りそう。
この清香烏龍茶は説明に「蘭のような」とある通り、ふんわりとした香りがとっても良かった。本当に好みで癖になる。白いお花をいろいろ束ねた大きなブーケに、顔面と鼻先を突き込んだみたいな、豊かで優雅な気分になれた(他に適切な例えはなかったの?)
あつあつの状態でもキンキンに冷やしても良い。何も食べずにお茶だけで頂きたい味わい。もしくは、やっぱり重たいお肉とかのご飯系。
雲南省
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普洱茶・生茶(黒茶)
中国出身のお友達がくれたプーアル茶。固形の、いわゆる磚茶の形式で箱に入っており、ほぐして淹れるタイプで新鮮だった。ばらばらの茶葉なら散茶、こんな風に圧縮して固めてあれば緊圧茶と呼ばれ、後者にも多種多様な固め方が存在し……。
プーアル茶は後発酵の製法で作られる「黒茶」に分類され、さらに生茶と熟茶に分けられます。これは外箱の表記を見るかぎり生茶のよう。菌を用いて発酵させる熟茶とは違い、生茶は自家発酵で熟成させる、らしい。覚えるのが大変である。
ひとかけら分の茶葉の量で何度もお湯を注ぎ、淹れられるのが魅力。香りには酸味があるかと思いきや、実際の風味は独特のほろ苦さ(渋くない!)と香ばしさを兼ね備えていて、より豊かで、重たいけれど飲みやすかった。
台湾茶
南投県
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凍頂烏龍茶(青茶)
こちらも上の福建省産、清香烏龍茶と同じく、どちらかというと緑茶を思わせる風味を併せ持った青茶。発酵の度合いが中程度という特徴がある。
比べてみると、ふんわりしていた清香烏龍茶よりも香ばしくはっきりとした味わいを持っているかなという気がして、毎日飲むのに最適だと思った。合わないシチュエーションはほとんどないんじゃないだろうか。あえて限定するのであれば、爽やかなので春夏向きのお茶と言えるのかもしれない。
現在、凍頂烏龍茶の名で販売されているお茶には産地にばらつきがあるようですが、もとは南投県鹿谷郷で栽培・製造されていたもののことです。
ちなみに、プーアル茶をくれた友達に「好きな中国茶ある?」と聞かれて、今以上にお茶のことを知らない頃だったので「最近飲んだ凍頂烏龍茶がおいしかった」と言ったらスン……となり、「それはね、台湾茶だから……ちょっと違うの……」と返されて「ごめんね(泣)これから学ぶね(泣)」となった記憶があります。
フレーバードティー
TWG
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ジャスミンクイーン(緑茶)
緑茶ベースに茉莉花の香りづけを施したフレーバードティー。
立ちのぼる香りはシャープ、はっきりとしていながら、味わいの方はどちらかというとまろやかで、少し長めに蒸らして濃く渋く出した方が私の場合はよりおいしいと感じる。TWGのジャスミン茶はなんというか雰囲気が丸く、優しいような。眉間にガツンと来るよりもリラックスできるお茶が好きな人におすすめかもしれません。
あと人によっては邪道と感じられるかもですが、お砂糖やミルクを入れても美味かと個人的には思います。
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モロカンミントティー(緑茶)
緑茶ベースにつんとしたミント(スペアミントだそう)の香りが付与されて、全然苦くも渋くもなくて飲みやすい。ミントといえば涼しげな印象を抱くけれど、温かいものだと冬でもおいしくいただけます。肝心の緑茶部分は「ガンパウダー」と紹介されていたので多分「平水珠茶」のこと……それが中近東やアフリカで人気なのは全然知らなかった。
かつてエジプト・カイロにある市場の片隅で味わった、あの風味と現地の空気を思い出す。当時はホットの状態で出てきたミントティーに戸惑っていて(勝手に氷入りのハッカ水を想像していたから)おそるおそる飲んだらきちんとおいしかった。閑話休題。
お菓子は抹茶のカヌレ。ほろ苦さと甘さを兼ね備えた食べ物に合う。
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サクラ!サクラ!ティー 2024(緑茶)
こちらは2024年の限定ブレンドで、他の年に発売されたものとは仕様が異なります。
緑茶ベースにバラの花びらをブレンドしチェリーの香りづけがされている茶葉。店頭に行って、今年限定ではない方のサクラティーと香りを比べさせてもらったら、そちらはよりフルーティーな甘めの印象だった。買ってきた写真の方は「桜餅」に近いような香りの軽やかさ・爽やかさがあったのでお好みで……。
お菓子はいただきもので家にあった、亀屋万年堂のナボナ(苺クリームとコーヒークリーム)。とても合う。
ハーブティー
牧野植物園
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ミソハギ茶
和ハッカの風味が効いているハーブティー。
じんわりとした苦味はドクダミによるものか、それともメインとなるミソハギから抽出されるものか……ベースが釜炒り茶とのことなのでそれと絡み合ってもいる。ちなみにミソハギはお茶にするだけでなく、花や葉自体を食べることもできるそうです。
夏に美しい花を咲かす植物。
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ケケンポナシ茶
こちらはショウガの風味が効いているハーブティー。
ほうじ茶がブレンドされていますがそこまで強く主張せず、爽やかな中にもコクがある。まだ肌寒い頃に飲みましたが、配合のスイカズラには暑気による熱性症状に用いられているとあり、それなら今の季節にこそ飲みたかった。葉ではなく果実の方は有毒らしい。かわいい。
ケケンポナシはケンポナシ科の植物で、その「ケ」1文字の違いは何なのかと調べたら「毛」らしい。果実が毛で覆われているのかどうか。ややこしくて面白かった。
おまけ:
緑茶といえば……
東京は墨田区、向島のお店で提供される「言問団子」はセットで付いてくる緑茶が異様に美味で、とても印象に残ったのでおすすめ。
このお団子のために契約した静岡の川根茶を使っているらしい。こだわりだ。
次回、半年後にまとめる感想の更新もお楽しみに~。