1834年11月24日。
かの「嵐が丘」の著者エミリー・ブロンテは「シャーロットはプディングを完璧に作ったと言っていた」と自身の日誌に書いていた。
シャーロットというのは彼女の姉で、小説「ジェイン・エア」の著者である。
このイギリス文学に頻繁に登場するプディング(pudding)とは一体何なのか。
物語の舞台や年代によって、それは肉料理であったり、デザートであったりする。基本的に「蒸した料理の総称」であるプディングはどちらの姿でもあり得る。
以前、私が現地で食べたヨークシャー・プディングはローストビーフの付け合わせで、まるでふわふわしたパンのようだった様子を思い出せる。
その歴史を見てみると、最初期のプディングの代表例は、動物の胃に肉、牛脂、カラスムギ、調味料などを入れて茹でたもの。
やがてデンプンをひろく用いるようになってからは、肉や野菜をデンプン粉と混ぜるか、その皮に入れて蒸した……らしい。
さて、シャーロットが作ったプディングの種類。
エミリーの日記を読み進めると「アップルプディングのためにリンゴをむいた」とある。食卓には他に茹でた牛肉、カブ、ポテトが並んだと書いてあるから、このアップルプディングはデザートだ。
「完璧なプディング」の味、ぜひとも知りたいものである。
約500文字
以下のマストドン(Masodon)に掲載した文章です。