小倉の駅でお弁当を買い、新幹線車内で食べながら考えていた。
添えられていたミカンの甘さに目を剥きつつ。
ところでさっき写真を見たら、ミカンの区切りの中に黒い紐のようなものが1本お邪魔していたみたいで、あれは多分ご飯を覆っていた海苔だ。食べている時は甘さに気を取られて意識しなかった。
知らずに食べてしまったのだが、もう今更。ミカンに交じった海苔の1本くらい別に避けるものでもないと思っておく。
……いわゆる鉄道駅(明治初期は殆ど「停車場」表記)での「御辨當販売」について、開始された時代には諸説あり、地域も全国に散らばっている。
でも大体、明治10~20年代に起源を求めることができそう。
お弁当に限らず、旅客を乗せ中距離以上を走る鉄道と食事とは不可分で、現在と異なり20世紀までは多くの路線で「食堂車」を有した列車が運行していた。在来線の特急でも。
まるっきり私の記憶にはない時代。
明治43年の列車食堂「みかど」のメニュー例を見てみよう。
・ビーフステーキ 30銭
・カレーエンドライス 20銭
・アイスクリーム 12銭
目安として、当時の東京市電の運賃は4銭。
夏目漱石の小説「虞美人草」にも食堂車の「ハムエクス」が登場する。
車内食、というだけで美味しそうに聞こえるのは、一体なぜなのだろう……。
以下のマストドン(Masodon)に掲載した文章の改変です。