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彷徨する自由帖

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鉄道、辨當、食堂車|ほぼ500文字の回想

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 小倉の駅でお弁当を買い、新幹線車内で食べながら考えていた。

 添えられていたミカンの甘さに目を剥きつつ。

 ところでさっき写真を見たら、ミカンの区切りの中に黒い紐のようなものが1本お邪魔していたみたいで、あれは多分ご飯を覆っていた海苔だ。食べている時は甘さに気を取られて意識しなかった。

 知らずに食べてしまったのだが、もう今更。ミカンに交じった海苔の1本くらい別に避けるものでもないと思っておく。

 

 

 ……いわゆる鉄道駅(明治初期は殆ど「停車場」表記)での「御辨當販売」について、開始された時代には諸説あり、地域も全国に散らばっている。

 でも大体、明治10~20年代に起源を求めることができそう。

 お弁当に限らず、旅客を乗せ中距離以上を走る鉄道と食事とは不可分で、現在と異なり20世紀までは多くの路線で「食堂車」を有した列車が運行していた。在来線の特急でも。

 まるっきり私の記憶にはない時代。

 

 明治43年の列車食堂「みかど」のメニュー例を見てみよう。

・ビーフステーキ 30銭
・カレーエンドライス 20銭
・アイスクリーム 12銭

 目安として、当時の東京市電の運賃は4銭。

 

 夏目漱石の小説「虞美人草」にも食堂車の「ハムエクス」が登場する。

 車内食、というだけで美味しそうに聞こえるのは、一体なぜなのだろう……。

 

 

 

 以下のマストドン(Masodon)に掲載した文章の改変です。