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独特かつ荘厳な外観が魅力的、築地本願寺の本堂|近代建築

 

 

 

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公式サイト:

築地本願寺

 

 鮮魚の取引される場外市場で有名な、東京都中央区の築地。そこにある「築地本願寺」の建物はとても面白い近代建築だ。

 もとの本願寺は、1657年に起こった明暦の大火をきっかけに浅草方面から移転されており、度々の小火災を乗り越えて再建を繰り返しつつも関東大震災によって最も甚大な被害を受けた。

 そして1934(昭和9)年に建てられたのが、現在と同じ姿の築地本願寺なのである。

 ちなみに、ほぼ同時期に竣工した東京都内の近代建築として、著名なところでは旧朝香宮家明治生命館が挙げられる。築地本願寺との共通点は、いずれも丈夫な鉄筋コンクリート造りであること。

 

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 近代建築を探していて初めて築地本願寺の建物を知ったとき、その稀有な佇まいには驚かされたものだった。

 設計を担当したのは建築史家の伊東忠太で、これは当時、浄土真宗本願寺派の法主(門主)であった大谷光瑞と彼の間に交流があったことから協力が実現し、2人がアジア周遊で得た見識が建物にも色濃く反映されているのだと感じられる。

 寺、といって私達が一般に思い浮かべる甍の屋根……たとえば寄棟造や入母屋造の形状とは大きく違う、古代インドを中心とした、アジアの寺院建築の特色がふんだんに取り入れられた本堂。

 その正面に立つと左右対称で、真ん中の上部に花開いている蓮華が見える。いわゆる石窟寺院風の意匠になる。

 

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 大階段の両脇で守りを固めているのは、2体の獅子。手すりにある渦巻き模様も見逃せない。

 どうやら彼ら以外にも境内には複数の動物像(13種類ほどあると言われている)が設置されているようで、設計者の伊東忠太がいかなる意図でそれらを配備したのかは不明なものの、彼自身が動物好きであったことはよく知られている。なんだか可愛らしいような気もした。

 また、日本の銀閣寺などにも採用されている花頭窓の枠が外からも確認できたり、内部のホールにはイスラーム風のアーチがあしらわれていたりと、古代アジアの寺院建築に限らず幅広い意匠を取り入れているのがわかった。西洋風のステンドグラスや、なんとパイプオルガンまである。

 本堂の両翼を飾るのはインドの仏塔、ストゥーパ風の塔屋だ。一見するとまったく同じ姿をしているが、北翼にあるのが鐘楼、南翼にあるのが鼓楼と設備に違いがある。

 

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 眺めているだけで、意識を色々な場所へと連れて行ってくれる建物が多々あるように、築地本願寺も異なる土地に起源をもつものたちが一堂に会する交差点のようなもの。

 地理的に、広義のシルクロードの終わりにあるともいえる日本でこういった建物を目にすると、ある種の感慨も深まるように思えた。

 

 特定の行事以外の際には外部に開かれており、誰でも参拝や見学ができる。

 ここは邸宅でも官庁建築でもないために見落としがちだが、東京・中央区エリアで近代建築探訪をする際には忘れずに足を運んでおきたい場所のひとつだった。

 

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