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彷徨する自由帖

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本や漫画

読書感想文や本、漫画のこと

新潮文庫版《十二国記》を一気読みする至福 - 王と麒麟と国、そして民衆の物語

君の好きそうな、ぐっとくる主従関係が描かれているよ——と教えられて、その長編小説に脇目もふらず手を出した。結果、ものの見事に落ちてしまったのだ。底の見えないほど深い深い沼に。ステイホーム期間中に、全巻を読みました。十二国記は1991年に刊行され…

《少年》谷崎潤一郎 - 和洋折衷の大邸宅で、ちょっと背徳的な「遊び」に興じる子供たち|耽美な近代文学

開港や文明開化の影響、そして政府の意向もあり、公共の施設をはじめとした数々の建造物が洋風の趣を纏うようになった明治時代。その頃は官庁や銀行、学校、駅舎などに見られる様式が代表的な例だった。当時の市井の人々(今もそうかもしれない)にとって、…

小雨ふる新吉原遊郭跡 - 樋口一葉の《たけくらべ》を片手に歩く、静かな昼の旧花街

昔も今も変わらない、人が誰かを恋い慕う心。だがその向かう先、行きつく場所はそれぞれに違う。私が折に触れて読み返す、樋口一葉著の短編《たけくらべ》には、決して声高に叫ばれることのない感情のやりとりと結ばれ方がとても丁寧に描かれていた。時代は…

《文字禍》中島敦 - アッシリア|近代日本の小説家による、外国を舞台にした短編のお気に入り(4)

文字の霊などというものが、一体、あるものか、どうか。中島敦の短編《文字禍》はこんな書き出しで始まる。題の字を読むごとく、文字による禍(わざわい)の話だ。舞台は遠い昔の新アッシリア帝国。そこで紀元前7世紀頃に支配者として君臨していたアッシュー…

《死後の恋》夢野久作 - ロシア|近代日本の小説家による、外国を舞台にした短編のお気に入り(3)

王朝文化が栄華を極めた帝国から、ソヴィエト連邦への変遷をたどったロシア......この時期に囁かれた「アナスタシア伝説」を題材にした作品は多い。私の愛するミュージカルアニメ映画《Anastasia(1997)》や英国ロイヤル・バレエの演目のほか、最近ではスマ…

《倫敦塔》夏目漱石 - イギリス|近代日本の小説家による、外国を舞台にした短編のお気に入り(2)

これを読んでいる方々の中に、空想を日常的に好んで行うと自認している人はどの位いるだろうか。もしくは、普段から意識していないのに頭の方が勝手に働き、色々な出来事がどんどん脳内で展開してしまう、という人。その数は決して少なくないと思うし、かく…

《うたかたの記》森鴎外 - ドイツ|近代日本の小説家による、外国を舞台にした短編のお気に入り(1)

本が好きだ。なかでも、小説を手に取ってよく読む。 けれど「読書家である」と胸を張って言えるほどに冊数を重ねているわけではない。この世の中には"本の虫"としか表現のできない類の人達が沢山いて、一日に一冊以上の本を、まるで息をするように読んでいる…

飢餓に苛まれながら、他人にパンを与えることができるか - 英国が舞台の児童文学《小公女》より

これは、言わずと知れた名作児童文学《小公女》の終盤にある場面。孤児になったと思われていたが身元の引受人が現れ、ミンチン女子学院を去ることが決まった少女・セーラと、紆余曲折の末にようやく彼女を見つけた資産家・カリスフォード氏の間で交わされた…