この北半球にいて、南十字星(Southern Cross)を拝める場所というのはさほど多くない。首都圏から南西の方角に下った四国も例外ではなく、けれどそこには、実際見えるはずのないサザンクロスが存在して人間を招いているのだった。道路際で、きちんと光を放つ…
2023年9月18日㈪~9月24日㈰の日記(順次追加)
現在「四谷シモン人形館」として門戸を開いている建物は、かつて鎌田醤油の4代目、勝太郎が坂出に建設した居宅。彼の号にちなんで「淡翁荘」と呼ばれていた。戦前の昭和11年に竣工した洋館で、現在は広い駐車場となっている横の土地から見ると実に四角く簡素…
2冊のどちらもいくつかの話に(「薬指の標本」表題作では特に印象に残る存在として)『サイダー』『ソーダ』など炭酸水が登場する。炭酸飲料は性質からして官能的な気がする。サイダー類の液体がたとえば、あの大小の泡で上唇や口内、舌の先や表面、歯茎、喉…
単色に輝く建造物によって構成された壮麗な「白の都(White City)」。また、現実を変容させる道具としての「緑色をしたゴーグル(Green Goggles)」。ボームがこれらを目撃したことは、世界で長く読み継がれている《オズの魔法使い》の根本に今も息づいている。…
2023年9月4日㈪~9月10日㈰の日記(順次追加)
8月31日㈭まで。なみに17時以降に予約をすると「スイカのカクテル」が無料で付いてくるため、都合が合うなら断然夕方に行くのがおすすめだった。陽が傾いてからの方が少しだけ涼しいし、それから徐々に薄暗くなっていく中庭を窓から眺めるのもわりと好き。今…
なぜ、和尚なのか。なぜ、時計なのか。なぜ「何か」がそれらの姿をとって現れなければならなかったのだろうか……侍(さむらい)も夏目漱石自身も、宗教と文明というふたつの要素に引き裂かれていた。それらを象徴する「和尚」と「時計」のイメージ。
まゆのやま……。その「形状」から眉山と名付けられた山だと聞き、新町橋の側に立って、泰然とした姿を見上げた。手前にあるビルの「探偵社」や「カメラ高価買取」などという文字列につい気を取られてしまうが、違う違うそっちじゃないよと自分に言い聞かせる…
SEA GLASS CANDY、しおサイダー、スイカのカクテル。最近出会った「塩味」がきいているもの。
耳は聞こえるが声を発することができぬ唖者のため、手話を用いて意思の疎通を行う《図書館の魔女》、名をマツリカ。そして、常人よりはるかに鋭敏な感覚を持っているものの、文字の読み書きができない少年キリヒト。1の言葉で100を想像させる表現があるとす…
分散型、時に連合型とも呼ばれるSNSのなかでも、ActivityPubという通信プロトコルを使用している「Mastodon(マストドン)」に触り始めて数か月が経った。初めは「分散型? ううむ……中央集権型の対極に位置するのは分かるけれど、具体的な『感じ』は一体どうな…
時代や地域を特定させる固有名詞が意図して省かれているにもかかわらず、読んでいれば、舞台が第二次世界大戦中のヨーロッパのどこかであることはすぐ明らかになるだろう。アゴタ・クリストフ「悪童日記 (Le grand cahier)」は、3部作を構成するうちの初めの…
言問団子の店舗から桜橋方面に向かって3分くらい歩くと、交差点に面した位置に、文字通り「カド」という飲食店があった。季節の生ジュースとくるみパンの店。この、盾のような看板には思わず足を止めてしまう。お店の公式Instagramを参照すると制作者の方々…
2023年8月14日㈪~8月20日㈰の日記(順次追加)