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彷徨する自由帖

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とても正気じゃ暮らせない世界で、静かな熱狂の麻酔を切らさない:HSPの生存戦略

HSP(Highly Sensitive Person, 直訳すると「とても敏感な人」)という言葉の知名度は、少しずつ上がってきているように思う。それに伴って、「自分はHSPだ」と自認する人の数も増加しているのではないだろうか。これは米国の心理学者・アーロン博士が1996年…

エジプト・カイロ周辺旅行(2) 広大な考古学博物館を興奮しながら駆け回った記録

私達の心をいつの時代も惹きつけてやまない、古代文明の遺産。エジプト、という言葉の響きから多くの人々が反射的に連想するのは、ピラミッドの丘や王家の谷の葬祭殿、墓荒らしの手を逃れて生き残った副葬品をはじめとする、数多くの史跡・宝物だろう。現地…

エジプト・カイロ周辺旅行(1) 絢爛なムハンマド・アリー・モスクは街の小高い丘の上

古代文明のロマンと中世以降のイスラーム文化が交差する国、エジプト――。先月末、私は現地の都市カイロとギザを訪れる機会を得て、嬉々として成田空港から飛行機に乗り込み旅立ったのだった。そもそもイギリスから帰ってきて以来、半年以上の間を開けた国外…

イギリスの美大を中退しようと決めたときのこと

昨年のいまごろ自分が考えていたことを、細部まではっきりと思い出すのは意外と難しい。けれど、私が大学を辞めるという重大な決断をするにあたって、心に生じた多くの「迷い」からひとつずつ答えを引き出そうと試み、奮闘していたことは確かだ。人が中途退…

よこはま動物園ズーラシア・空想散歩

じっと椅子に座っているよりも、散歩などで身体を動かしていた方が新しいアイデアが生まれやすい、という説を耳にする機会が以前よりも多くなった。上のTED Talksで語られている例もそのうちの一つだ。人が創造的なアイデア(ここでは「現実的かつ新奇」であ…

公園に出現した《ロンドン・マスタバ》クリスト&ジャンヌ=クロードのアートプロジェクト:街の中の現代美術

2018年の6月中旬から9月末まで、英国・ロンドンの中心部にあるハイド・パーク内では、ある巨大な現代美術作品を見ることができた。プロジェクトのタイトルは《The London Mastaba(ロンドン・マスタバ)》といい、二つの側面が等脚台形になるよう大量のドラ…

名古屋の近代建築探訪(3) 覚王山の揚輝荘・聴松閣と、洋菓子店のスイートポテト|愛知県旅行

二葉館を見学した後は高岳(たかおか)という地下鉄の駅から桜通線に乗り、今池で東山線に乗り換えて、覚王山で下車した。付近には覚王山日泰寺というお寺があり、それが区域の名前の由来となっている。名古屋の中心部から少し離れているここは、おしゃれな…

英国が舞台の児童文学《小公女》より - 飢餓に苛まれながら、他人にパンを与えることができるか|F・H・バーネットの小説

これは、言わずと知れた名作児童文学《小公女》の終盤にある場面。孤児になったと思われていたが身元の引受人が現れ、ミンチン女子学院を去ることが決まった少女・セーラと、紆余曲折の末にようやく彼女を見つけた資産家・カリスフォード氏の間で交わされた…

名古屋の近代建築探訪(2) 文化のみち~大正期に竣工した和洋折衷の邸宅群をめぐる|愛知県旅行

教会を出てから引き続き、文化のみちを歩いていった。今回は白壁・主税・橦木エリア内にある、三つの邸宅を訪れた感想を書こうと思う。どの建物も明治末期から大正時代に建造が開始されたもので、和洋の意匠や様式がおもしろく組み合わされており、見ていて…

ロンドン芸術大学のようす:チェルシー・カレッジのファインアート学部

私は2016年の秋から美術(Fine Art)を学ぶ正規留学生として、イギリスの首都・ロンドンに2年と少しの間滞在していた。学校名はロンドン芸術大学で、セントマーチンズ・カレッジのファウンデーションコース修了後に、チェルシー・カレッジの学部(BA)へと進…

夢の島熱帯植物館の大温室を歩く|東京都・新木場にて

江東区の夢の島公園には大温室の占める一角がある。新木場駅から歩いて15分ほどで辿り着けるそこは、夢の島熱帯植物館(よく表記を間違えられるが植物"園"ではない)と呼ばれている場所だ。付近は閑散としていたが、野球場や競技場などスポーツに関連した施…

名古屋の近代建築探訪(1) 文化のみち~レンガの市政資料館から主税町教会まで|愛知県旅行

私にとっては二度目の訪問となる愛知県名古屋市。前回の季節は夏のはじめで、今回は冬のさなかだった。1泊2日の旅、初日は快晴、帰りは小雨。大きな寒波に見舞われることなく過ごすことができたけれど、おそらくは花粉の飛散によるくしゃみと鼻水に苦しめら…

ご挨拶:当ブログの概要、お仕事について

ライティングのお仕事に関してはメールにて詳細をご提示の上、ご相談ください。仕事内容・掲載媒体と形式・締切・報酬額と振込時期など、詳細な情報のご記載がないメールにはお返事をしかねる場合が多いです。申し訳ありませんが、あらかじめご了承ください…

箱根登山電車&ロープウェイの魅力と1月の大涌谷|日帰り一人旅

この間、箱根の方まで出向いた。特に用事があったわけではなく、見たいものがあったわけでもない。ただ何となく。考えてみれば、自分がどこかへ行く時は理由があるからではなくて、目的地を決めてからその理由を後付けで考えていることの方が多いということ…

記事を寄稿しました:「気分循環症」という厄介な性質 - WEBメディア〈ダメです.〉へ

何かとても嬉しいことがあって、天にも昇るような心地がする。またはひどく悲しい出来事に遭遇して、どん底まで落ち込んでしまう――。このように、目の前で起こったことに反応して人間の喜怒哀楽が変化するのは正常なことだ。だが、もしも自分の感情や気分が…